「元気なうちに辞める」ことをお勧め

筆者は、基本的には、「元気なうちに辞める」ことをお勧めします。仕事以外の人生も楽しむつもりなら、「元気でなくなってから辞める」のでは遅すぎます。自分がいつまで元気なのかは誰にもわかりません。しかし、自分だけはいつまでも元気だということもありません。

就業者がリタイア後に健康寿命を享受できる年数は、本人が思っているよりも、ずっと短いかもしれないのです(図表3参照)。

特に60代後半については、働くのか働かないのか、また、「元気なうちは働く」にしても、大半の時間を仕事に充てるのかどうかは、しっかり考えておくべきです。

60代後半は勤務先の継続雇用義務がなくなり、ハローワークを通じて職を探す人が増えます。60代前半の継続勤務者の年収のボリュームゾーン「400万~600万円未満」に対して、60代後半のパート・アルバイトでは「200万円未満」が5割弱、「200万~400万円未満」が約4割です(図表4参照)。年収は半分以下になる可能性が大です。

60代後半のパート・アルバイトは過酷

たとえば、2025年10月に約5.4%引き上げられた東京都の最低賃金1226円で200万~300万円を稼ごうとすると、何時間働かなくてはならないか、単純計算してみると、

・200万円÷12カ月÷1226円=毎月135.9時間、月20日勤務だと1日6.8時間勤務
・300万円÷12カ月÷1226円=毎月203.9時間、月20日勤務だと1日10.2時間勤務

200万円稼ぐには、ほぼフルタイムに近い勤務が必要であり、300万円なら毎日2時間残業する感覚です。

60歳で給与が3割下がっても、60代前半の継続勤務者の処遇条件は比較的恵まれています。しかし、パート・アルバイトになると、給与がさらに下がるのに仕事に充てる時間はさほど変わらない状況になります。

きっと、さまざまな疑問が頭に浮かんでくることでしょう。

「今後、実際にいくら必要なんだろう?」
「もっと効率的に稼ぐ方法もあるのでは?」
「結局、何のために働くんだろう?」
「本当に働く必要があるのか、もう十分なんじゃないのか?」
「辞めたら、毎日何をするのかな? やることはあるのかな?」

さて、どうしますか? どう考えますか?