ガラス張りのショーケースの中で遊ぶ子犬や子猫を眺める親子連れ。日本のペットショップでよく見かける光景が、アメリカやヨーロッパから消えつつある。一体なぜか。ペットジャーナリストの阪根美果さんが解説する――。
子犬
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ショーケースの子犬・子猫に「NO」

「あの窓越しの子犬はいくらですか?(How Much Is That Doggie in the Window?)」
「私はあの犬を買いたいです(I do hope doggie‘s for sale)」

1953年にアメリカの歌手パティ・ペイジが歌い大ヒットした曲『ワン・ワン・ワルツ』は、ペットショップのショーケースに並ぶ愛らしい子犬に心を奪われる心情を描いたものでした。

かつては微笑ましい光景として受け止められていたこの歌詞も、現代では少し違って聞こえるかもしれません。ショーケースの子犬が、どのような環境で生まれ、どのような流通を経てそこにいるのか、私たちは以前より知るようになったからです。

現在、アメリカではこの「窓越しの子犬」という販売形態そのものを「NO」とする、法的な動きが急速に広がっています。複数の州で、犬・猫・ウサギのペットショップでの生体販売が禁止されたのです。欧州では国単位で変革が進んでいます。

一方、日本のペットショップやホームセンターには、依然としてガラス張りのショーケースがずらりと並び、生後間もない子犬や子猫が展示販売されています。

カリフォルニア州に続きニューヨーク州も

2024年12月、ニューヨーク州で「パピーミル・パイプライン法(Puppy Mill Pipeline Law)」が施行されました。これにより、犬・猫・ウサギのペットショップでの生体販売が禁止されることになりました。これは、カリフォルニア州(2019年)、メリーランド州(2020年)、イリノイ州(2021年)に続く動きで、米国内で着実に広がっている潮流です。

さらに2025年11月には、世界的な観光都市であるラスベガス(ネバダ州)でも、同様の条例が可決されました。動物福祉の観点から「生体販売ビジネス」への厳しい見直しが進んでいるのです。

都市単位での規制強化が相次ぐ事実は、この流れが一過性のものではなく、世界的なコンセンサスとして確立されつつあることを物語っています。