食品のように陳列販売されるべきではない

欧州の一部の国々では、国単位でさらに踏み込んだ規制が進んでいます。「動物はモノのように陳列販売されるべきではない」という倫理観が、すでに法的基準として定着しつつあります。

イギリスでは2020年に「ルーシー法(Lucy’s Law)」が施行され、生後6カ月未満の子犬・子猫を認定されたブリーダー以外の第三者業者(ペットショップや仲介業者、インターネットを使った販売業者)が販売することを禁止しました。

また、フランスでは2024年に「動物の虐待防止および動物と人間の絆を強化することを目的とした法律(LOI visant à lutter contre la maltraitance animale et conforter le lien entre les animaux et les hommes)」が施行されました。この法には犬・猫の店頭販売禁止のほか、動物の遺棄や虐待への罰則強化などが定められています。

「子犬工場」への資金供給を断つ

なぜ、各国は販売そのものを禁止するに至ったのでしょうか。その最大の目的は、悪質な繁殖施設、いわゆる「パピーミル(子犬工場)」を根絶することにあります。

利益を最優先し、犬や猫を狭く不衛生なケージに閉じ込め、休みなく繁殖を強いるケースが後を絶ちません。生まれた子犬たちは、健康管理も社会化(親兄弟と過ごし、動物としてのルールを学ぶ期間)も不十分なまま出荷され、仲介業者を通じてペットショップの狭いショーケースに並ぶことになります。

子犬
写真=iStock.com/GeorgePeters
※写真はイメージです

各国の規制の論理は共通しています。「生体を仕入れて売るというペットショップのビジネスモデルが存在する限り、その供給元であるパピーミルはなくならない。そうであるなら、出口であるペットショップでの販売を封じることで、悪質な繁殖業者への資金供給(パイプライン)を断ち切る」というのが、法案の核心です。

生体販売禁止は、ペットショップの廃業を求めるものではありません。フードや用品の販売はこれまでどおり継続できます。重要ポイントは、展示スペースを保護団体のための譲渡会場として提供することが推奨されている点です。きちんとした話し合いのもとで保護犬・保護猫の譲渡先を決めるため、衝動的に飼うことや虐待・遺棄を減らすことができます。

つまり、「命を衝動的に買う場所」から「責任ある家族との出会いの場」へとビジネスの構造を強制的に転換させることで、不幸な動物を減らし、保護犬・保護猫の譲渡率を上げるという二重の改善を狙っています。