もう働きたくない

ここまで、今も働いている60代社員、50代後半社員に焦点を当ててきました。もちろん、働くのを辞めた人もいます。

55歳時点で通算20年以上、正社員として勤務していた人のうち、もう働いていない人は50代後半が2.5%、60代前半は4.2%、60代後半では10.7%と年代層が上がるにつれて増加するものの、かなりの少数派です(図表2参照)。

彼らは、なぜ働いていないのでしょうか。

働かない理由は各年代とも「もう働きたくない」が最多で、50代後半、60代前半では約5割、60代後半では6割近くを占めています(図表5)。

「もう働きたくない」をどう解釈するかですが、シンプルに読めば、「もう十分働いたし、働くのは嫌だ」、あるいは、「人生も後半なので、仕事よりも、もっとほかにやりたいことがある」ということなのでしょう。

しかし、生計が成り立たない人は働かざるを得ないわけですから、「もう働きたくない」から仕事を辞められる人は、自分としては経済的に問題がないと考えている人ということになりそうです。

「生計を維持したいから」は働く理由の1位であり、50代後半57.9%、60代前半52.8%、60代後半44.5%を占めます(図表6参照)。その裏返しで、働かない理由として「お金に不自由していない」を挙げる人は、50代後半12.2%、60代前半18.6%、60代後半21.9%です。また働く理由として、「働くことが好きだから」を挙げる人は1割前後しかいません。

「お金があっても働きますか?」

「あなたは、お金があっても働きますか?」と問われたら、どう答えるでしょうか。

仕事が生計を立てる手段ならば、「働かない」と答える人も少なくなさそうです。お金ができたら辞めたいと考えた場合、現実問題として具体的な金額はいくらでしょうか?

60代社員が働き続けるか、辞めるかを判断するうえで、ここがひとつの悩みどころです。最大の悩みかもしれません。

ウェブには、総務省「家計調査報告(家計収支編)」の65歳以上の無職世帯の1カ月あたりの収入と支出に関するデータをベースにした「老後の必要資金はいくら?」という記事が溢れています。

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