40代以降も成長するためには、どんな職場に身をおくといいのか。パーソル総合研究所シンクタンク本部・上席主任研究員の藤井薫さんは「企業の人材マネジメントの取り組み姿勢は7つのチェックポイントで判定できる。人材に関心が薄い企業では40代半ばの普通の社員がローパフォーマーに転落していくことが多い」という――。

※本稿は、藤井薫『定年前後のキャリア戦略 データで読み解く60代社員のリアル』(中公新書ラクレ)の一部を再編集したものです。

コンクリートの壁を乗り越えようとする男性
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人材マネジメントに関心が薄い企業の特徴

社員の年齢層にかかわらず、人材マネジメントが効果的に行われている企業とそうではない企業に二分されるのではないかと筆者は考えています。これまで多くの企業の人事部と接してきましたが、各社の取り組みには、かなりのレベル差があるというのが実感です。

筆者の独断ですが、次の7項目のチェックリストの中に二つ当てはまるものがあれば、その企業の人材マネジメントに対する取り組み姿勢はかなり怪しげです。三つ当てはまれば、即、人材マネジメントに関心が薄い企業だと言ってよさそうです。

□ 本部、事業部レベルの組織編成が直近10年間変わっていない
□ 等級制度、評価制度、給与制度が基本的に直近10年間変わっていない
□ 人事担当役員または人事部長が直近10年間変わっていない
□ 自分の直属上司が直近10年間変わっていない
□ 身近に抜擢登用された人がいない
□ 身近に社内公募やFA制度などでの異動者がほとんどいない
□ 新卒採用者数の減少や若手の離職が目立つ

組織や人事制度は、経営環境や戦略に応じて変化するものです。直近10年間で、組織や人事制度に影響を及ぼすレベルの環境変化や戦略の見直しがなかったとは考えづらく、ここにチェックがつくようなら、経営の不作為を問うべきかもしれません。

人事担当役員や直属上司が変わらないというのは、一概に問題だと言えない面もありますが、やはりマンネリのリスクは避けられません。また、上司部下の関係が10年間変わらないというのは、上司も部下も10年間同じ立場で仕事をしているということで、両者とも大きく成長していないということです。

良質な「ミドルパフォーマー」の転落

また、「人と人との組み合わせの妙」を追求していない点が気がかりです。拙著『人事ガチャの秘密』(中公新書ラクレ)で詳しく解説していますが、標準的な人事評価成績を受けている「ミドルパフォーマー」(つまり、ふつうの会社員)は各部門の基幹戦力として機能しており、戦力として「問題がない」がゆえに人事異動の対象になりづらく、所属部署に塩漬けにされて専門性の拡大深耕の機会を十分に得られないため、40代半ばを過ぎるとローパフォーマーに転落していくリスクが高くなります。

さらに、メンバー構成が固定されていると、「人と人との組み合わせの妙」が発揮されません。

抜擢登用については、若手の話をしたいわけではありません。「適所適材」、すなわち、年齢などにこだわらず、各ポジションの要件にふさわしい人を配置しているかどうかに関するわかりやすい例が若手の抜擢だということです。「年齢にこだわらない」という意味で、本来、適所適材は50代社員、60代社員の配置においても基本になる考え方です。