人事部の力量が問われる
社内公募やFA制度などは、本人の意思を重視する手挙げ異動施策です。昨今のキャリア自律推進の流れの中にあって欠かせない施策になっており、もはや制度の有無ではなく、実効性が問われています。周囲に何人かは手挙げで異動した人がいるというくらいでなければ、制度が十分機能しているとは言えません。
また、ジョブ型人事制度の導入に伴ってキャリア採用主体に舵を切る企業がでてきたとはいうものの、いまだ新卒採用ニーズは衰えず、少数を奪い合う激戦が続いています。
もちろん、採用は事業の魅力をはじめとする企業の総合力の反映であるとはいうものの、人事部の力量が問われます。初任給の引き上げだけで採用できるわけもなく、時代に即したキャリア開発施策などが欠かせません。応募者はその会社の人材マネジメントが3~5年くらいの「中期」スパンで、自分の将来にメリットがありそうかどうかを見ています。
若手社員も同じです。「役に立たない、使えない」と思えば、見限って次の会社に移っていきます。新卒採用力が弱くなっている企業、若手の離職が増えている企業は、人材マネジメントが時代に取り残されている可能性があります。
昨今、強調されている「人的資本経営」という言葉を持ち出すまでもなく、人材は企業価値創出の中核です。そもそも人材マネジメントに対してホンキで取り組んでいる企業とそうでない企業に分かれている気がしてなりません。
さて、あなたが勤めている会社はいかがでしょうか?
半数以上の企業が60代給与の引き上げを検討
60歳になると給与が3割下がるのが当たり前、そのような状況の中、60代の給与を引き上げる動きが注目されています。いくつか例を挙げてみます。
・住友生命保険:2026年度から60歳以降のシニア社員についても、部長級の職務を担う人材は中堅層と同様に最大1.5倍の給与を支払う仕組みにする
・バンダイ:2025年4月から61歳以上の定年後再雇用社員の待遇を改善。概算年収を58%引き上げる
・日本航空:2024年10月に再雇用制度を改定。これまでは再雇用後の年収は4~6割減っていたが、新制度では再雇用後も現役社員と同じ水準になる
・損害保険ジャパン:2024年10月に60歳以上の再雇用者について人事制度を刷新。制度の見直しにより、再雇用者の賃金は最大30%上昇する
実はこのように、60代社員の給与を引き上げた企業、引き上げようとする企業は少なくありません。
直近5年(2020年4月~2025年3月)において、60代社員の年収を引き上げた企業が25.7%あります(図表1)。
そして、今後給与を引き上げる予定の企業は22.4%で、引き上げを検討中の企業を合わせると56.3%と過半数に達します。

