世界から見た「参戦国」の基準とは

ちなみに、アメリカ・イスラエルは多くの民家や病院、研究施設や電力発電所など民間施設を攻撃しており、多くの民間人の犠牲をもたらしている。これらも国際法ではレッドカードであるが、議論の本筋から逸れるので、本稿では詳しく言及しない。

それでは、アラブ首長国連邦やサウジアラビアといった湾岸諸国などを巻き込んだイランの反撃には、正当性はあるか。他国に戦線を広げるのはとんでもないと考える日本人は多いと思うが、イランが一貫して、「湾岸諸国を無差別に攻撃しているのでなく、米軍基地が目的」としていることに注目する必要がある。イランのその言葉が本当であれば、自衛権行使として認められるのであろうか。この辺りは、少し複雑である。

モジタバ・ハーメネイー師、2026年3月8日
モジタバ・ハメネイ師、2026年3月8日(写真=Mostafa Tehrani/CC-BY-4.0/Wikimedia Commons

もしも湾岸諸国にある米軍基地からアメリカがイランに対して攻撃をしているのであれば、イランがそれらに対して反撃するのはなんら問題ない。それどころか、米軍基地から攻撃がなされたら基地提供国はもはや中立国と言えず、参戦国とみなされても仕方がない。

湾岸諸国が米軍に禁止したこと

自分たちが煽りを食うのは容易に予想できたことなので、湾岸諸国は一貫して外交による解決を主張して、アメリカ・イスラエルにイラン攻撃をやめさせようとしてきた経緯がある。それにもかかわらず何の相談もなく攻撃を開始したアメリカ・イスラエルに対して、不満を隠さない。

また、これが極めて重要であるが、湾岸諸国はそれぞれ、自国にある基地から攻撃することを米軍に禁止した、と発表している。すなわち、「米軍基地はあるが、それらはイラン攻撃に関与していないから、わが国はイラン攻撃に加担していない」という論法である。

現行の国際法では、外国の軍事基地に国土を提供しても、その基地が直接攻撃に関わらない限り、提供国は攻撃に加担したことにならない。国際法の決まりには、戦線が拡大されないようにするなどの理由があるが、そもそも多数の外国に軍事基地が設置できる大国に有利にできていることは、否定できないであろう。

たしかに、その基地が攻撃に直接参加していなくても、提供国は間接的に攻撃に関与しているという議論は十分できると思われる。しかし、現行国際法では、米軍が基地を使わないという要請に従っている限りであるが、湾岸諸国の言い分は正しい。