「文化大革命の再来は絶対に嫌だ」
中国国民が強権的な当局による監視と抑圧の体制を受け入れているのは、文化大革命の惨事の再来は絶対に嫌だという思いがあるからである。言論の自由の制限など多少はあっても、治安を維持し、暴動を防ぎ、国内を分裂させないことを優先させる。平穏にビジネスができる環境を、人々は求めているのである。
言論の自由などの基本的人権に関しては「兵営国家」である北朝鮮ほど厳しくないにしても、中国では一定の制限が課せられる。
「黒い猫でも白い猫でも鼠を捕るのが良い猫だ」と述べて、改革開放政策を展開した実利派の●小平にしても、政治的統制の手綱は緩めなかった。
共産党は建国以来、農業・工業・国防・科学技術の「4つの現代化」を政策目標として掲げてきた。他方、民主活動家の魏京生は1979年はじめに「4つの現代化」に加えて、「第5の近代化」として「政治の近代化」つまり、政治の民主化を求めた。
これに猛反発した●小平は、①社会主義の道、②プロレタリア独裁、③共産党の指導、④マルクス・レーニン主義と毛沢東思想という「4つの基本原則」を堅持することを明言し、3月29日に魏京生を逮捕した。
さらには、1989年の第二次天安門事件では戒厳令を布告し、政治的自由を求める学生たちを武力で鎮圧した。「4つの基本原則」に反する行動だからである。「4つの基本原則」には習近平も忠実であり、それに違反する行動は断固として弾圧する。
中国とソ連の「社会主義」は別物
なお、中国の社会主義については、「中国の特色ある社会主義」「マルクス主義の中国化」などと表現をする。そこには、1956年のフルシチョフのスターリン批判以降に先鋭化した中ソ対立が背景にある。
共産党はソ連の支援で新国家建設を進めてきたが、マルクス主義に忠実であろうとする毛沢東は、ソ連は修正主義に堕落したと結論づけ、対立していった。そして、ソ連型とは違う社会主義を目指した。その毛沢東思想と、改革開放を断行した●小平の理論が「中国の特色ある社会主義」になったのであり、習近平もそれを継承し、さらに発展させようとしているのである。


