駅前の病院や調剤薬局も姿を消す

25年3月にNTTドコモモバイル社会研究所が発表したデータによれば、スマートフォンの所有割合が60歳台で94%、70歳台で85%に達している。高齢者にも、インターネットを介した通信販売のみならず、オークションやフリマアプリなどの利用も一定割合に達するリテラシー状況が認められるため、オンライン診療比率上昇も時間の問題と見込む(図表5)。

【図表5】年齢階層別「過去1年間にインターネットで利用した機能・サービス等」[単位:歳、%]
出典=総務省「令和6年 通信利用動向調査」を筆者加工

病院側には、オンライン診療時にも再診料などの点数が算定されるが、調剤薬局側は処方を依頼されない限り収益を獲得することはできない。

外来回数を抑えることで、外来受診に合わせて近隣の処方箋薬局を訪問し処方を依頼する機会も減るが、こうした調剤薬局の全てがオンライン調剤に対応できているわけではない。

相対的にシステム投資負担が重く、TOPPANのグループ会社などもオンライン薬局事業に参入している中での調剤薬局の競争環境は厳しいことが想像に難くない。調剤薬局全体の3割程度が赤字と言われる中で、今般の運賃改定を間接要因・遠因として経営が行き詰まる先が出てくる事態を見込む。

たかが数百円の値上げが「街の風景」を変える

26年6月の診療報酬改定を前に、高齢医師の個人診療所の廃業が珍しくない模様でもある。駅前の病院や調剤薬局が姿を消し、駅周辺がさらに寂れる事態を憂慮する。

誤解を恐れずに言えば、今回の運賃改定によってもたらされる上記の事象は、「弱り目に祟り目」と受け取れる。前回の運賃区分見直し時期であった40年前と比べ、日本経済がそもそもの活力を失っている中で実施されたことが、過疎化や生活者の負担増などマイナス面を肥大させると予測せざるを得ないためだ。

収支構造が厳しい鉄道事業者はJR東日本だけではないため、近いうちに、他社にも同様の運賃改定が進む可能性がある。その一方で、今後ますます進む高齢化率の上昇は税収減による社会コストの上昇をもたらし、二次交通への交通費補助制度などの削減を余儀なくされる自治体が増えていくことだろう。それゆえに、人口減少が著しい自治体などでは、コンパクトシティ化の加速化などが避けられないと考える。

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