私大医学部で1、2を争う授業料の安さ

学閥をやめた順天堂医院では、外科でも重要な肺ガンを担当する呼吸器外科の教授には、国立がん研究センター中央病院で手術をたくさん経験した日本一の名医が就きました。

消化器外科(低侵襲外科)の教授は、民間病院ではありますが、最近では国立がん研究センターと変わらないくらい評判がいい、ガン専門のがん研有明病院出身です。

こうしたすばらしい先生が教授となり、難しい状態の患者さんをどんどん救い、メディアで取り上げられるなどして評判を呼んだため、順天堂医院を受診する患者さんはうなぎのぼりになっています。1日の外来患者数は3000~4000人ということですから、それこそ門前市もんぜんいちを成す勢いです。

病院の利益が上がったので、順天堂大学では医学部の学費を下げることができました。現在、私立大学の医学部のなかでは1、2を争う授業料の安い大学となっています。その結果、親の収入に関係なく、優秀な学生が順天堂大学を選ぶケースが増え、医学部生のレベルも上がったのです。

顺天堂大学本郷キャンパス
写真=Wikimedia Commons
顺天堂大学本郷キャンパス(写真=星出 拓海/CC-BY-SA-4.0/Wikimedia Commons

また、病院の利益が上がれば、高額な最新の医療機器も導入することが可能です。

学閥をやめるのは、このようなさまざまな面で大きなメリットがあります。

新約聖書の福音書にちなんだ病院名

もうひとつ、私がすばらしいと思っているのが「聖路加国際病院」です。

この病院はちょっと病院を調べたことがある人なら、みんな知っていると言ってもいいくらい、関東では有名な民間の病院です。長寿で有名な日野原重明先生がいた病院としても、よく知られています。

実は、この病院はアメリカの宣教師(医者でもある)が設立した病院です。英語では「St. Luke's International Hospital」となり、「聖路加」の正式な読みは「せいるか」であることはあまり知られていません。

ちなみに、病院名は、新約聖書の福音書のひとつである『ルカによる福音書』の著者である聖人ルカ(西洋では医者や画家の守護聖人とされる)にちなんだものです。

このような由来からも推察できるように、聖路加国際病院はアメリカのような医療を目指す病院です。具体的に言えば、「患者さんを優しく包み込むような、患者さん本位の医療を行おうとする病院」だと言えます。

日本の一般的な病院、特に大学病院や国公立の病院は、受付もそっけないし、医者も「イヤなら来なくていいですよ」という態度が多いのですが、聖路加国際病院はまったく違います。

それは、聖路加国際病院の理念である、設立者であるルドルフ・トイスラーの言葉「キリスト教の愛の心が 人の悩みを救うために働けば 苦しみは消えて その人は生まれ変わったようになる この偉大な愛の力を だれもがすぐわかるように計画されてできた生きた有機体がこの病院である」によく現れています。