老化の起こるメカニズムは何か。同志社大学生命医科学部アンチエイジングリサーチセンターの米井嘉一さんは「最新の研究で細胞の年齢を計測しようと『メチル化年齢』を計測すると、100歳以上の百寿者に近づくほど、暦年齢よりメチル化年齢が若かった。また、糖尿病患者のほうが早く老化することもわかっていて、病的な老化の正体は糖化だといえる」という――。

※本稿は、米井嘉一『糖と脂で体は壊れる 疲労、病気、老化の原因「糖化」の正体』(池田書店)の一部を再編集したものです。

ハグするおばあちゃんと孫
写真=iStock.com/kohei_hara

明らかになってきた老化スイッチの正体

遺伝子の老化パターンへの切り替えをできる限り後ろ倒しにし、健康寿命を延伸させるには、生活習慣の改善が重要であり、老化も生活習慣病のひとつです。

老化の原因の9割が生活習慣である理由は、遺伝子も生活習慣の影響を受け、変化するためです。この遺伝子の変化を「エピゲノム変化(エピジェネティクス)」といい、老化スイッチへの切り替えを誘発します。

ここからは少し専門的な話になりますが、近年明らかになってきた老化の最新研究について説明します。

エピゲノム変化は本来、遺伝子のDNAの一部であるシトシンと、遺伝子を調整するヒストンタンパク質が、メチル化や脱メチル化を起こす生理的な(正常な)反応です。

ヒストンタンパク質のどこにメチル化が起きるのかというと、ヒストンタンパク質を構成するリジンとアルギニンというアミノ酸があるのですが、これらはふたつのアミノ基(水素原子2、窒素原子1で構成される分子)を持っており、ひとつはペプチド結合(ほかのアミノ酸とくっつく)に使い、もうひとつは余っているので、その他の物質と反応を起こしやすい性質を持っています。

ここにメチル基が結合すればメチル化が起こり、ヒストンタンパク質の性状が変化して、DNAの働きが制御されます。