糖化による病的な老化の正体

DNAでも同様に、塩基のひとつであるシトシンがメチル化して、生理的な(正常な)反応としてエピゲノム変化が起こると、不要なタンパク質が生成されなくなるなどの制御がかかります。

ここからは、おそらく実際に起こっている可能性が高いと考えられるのですが、ヒストンタンパク質のリジンやアルギニン、DNAのシトシンのメチル化を起こす部位に、アルデヒドも結合するのではないかと推測しています。

アルデヒドが関与することで、糖化やカルボニル化、メチル化を含めた広い意味での非生理的な(異常な)エピゲノム変化が起こり、遺伝子が病的な老化パターンに切り替わるものと考えられます。

そう考えると、生活習慣の乱れによって、エピゲノム変化が起こって病的な老化が進行するというストーリーの辻褄が合います。ここでもやはり、先の記事でお伝えしたアルデヒドが黒幕として関与していたというわけです。そして、これこそが糖化による病的な老化の正体といえます。

実際にDNAにホルムアルデヒドを反応させたらメチル化したというかなり昔の研究報告もあり、ほかのアルデヒドもDNAに反応しないはずがありません。

ほかにも、エピゲノム変化のアルデヒドの関与については、脱メチル化というメチル基が分離する反応があるのですが、このときにシックハウス症候群の原因にもなる有毒なホルムアルデヒドが遊離するという事実もわかっています。

百寿者に近づくほど、暦年齢より細胞の年齢が若い

最近は細胞の年齢を計測しようという試みで「メチル化年齢」というものを計測しています。DNAのメチル化=エピゲノム変化を細胞の老化を測る基準として利用しているのです。

上の図はメチル化年齢=エピゲノム年齢を計測し、暦年齢と比較したところ、100歳以上の百寿者に近づくほど、暦年齢よりメチル化年齢が若いことがわかります。また、糖尿病患者と糖尿病ではない人のメチル化年齢を比較した研究では、糖尿病患者のほうが早く老化することがわかっています。

これらのことからも、やはり生活習慣の乱れによって糖化ストレス(=アルデヒドの暴走)の負荷が高い状態になると、非生理的なエピゲノム変化を早め、病的な老化を進めてしまうといえるでしょう。