頭の中をぐるぐるするネガティブなひとりごとはなぜ起こるか。心療内科医の鈴木裕介さんは「反すうは百害あって一利なしだ。東アジア人は文化的に反省を重視する傾向があり、日本人はとくに“有益な反省”と“有害な反すう”をしっかり区別することが重要だ」という――。
※本稿は、鈴木裕介『頭の中のひとりごとを消す方法』(池田書店)の一部を再編集したものです。
東アジア人は反省が大好き
おもしろいことに、東アジア人は儒教の影響などからか、文化的に「反省することを重視する」という傾向があります。
たとえば、『論語』には「三省吾身」という言葉があります。
吾れ日に三たび吾が身を省みる。人の為めに謀りて忠ならざるか、朋友と交わりて信ならざるか、習わざるを伝うるか。
(毎日何度もわが身について反省する。友だちとの交際において誠実でなかったのではないか。よくおさらいもしないことを(受けうりで)人に教えたのではないかと。)
――『論語』金谷治訳注、岩波文庫
要するに「一日三回は自分のことを振り返りましょう」という教訓です。
なかなかストイックで、この通りに実践できる人はそういないかもしれませんが、こうした精神性が自分の中のどこかにあると感じる人は少なくないのではないでしょうか。
このような感じで日本人を含む東アジアの人びとは、欧米人に比べて自己批判的であり、自分を改善し、成長させていくために自分の欠点に注目しやすい傾向があるのです(※1)。
そういえば、外国人の友人が「日本では謝罪会見をよく見るね」と言っていたのが印象的でした。かつては猿に反省を求める芸が話題にもなりましたが、日本は「反省せいや!」という社会的圧力が強い国なのかもしれません。
そうであればこそ、日本人はとくに「有益な反省」と「有害な反すう」をしっかりと区別することが重要なのではないかと強く思います。
※1 Heine, S. J., Lehman, D. R., Markus, H. R., & Kitayama, S. (1999). Isthere a universal need for positive self-regard? Psychological Review,106(4), 766-794.

