反すうが問題解決の行動を遅らせる

これまで述べてきたように、反すうは学びにならないし、問題解決の役に立ちません。それどころか、解決のための具体的な行動を遅らせてしまいます。

鈴木裕介『頭の中のひとりごとを消す方法』(池田書店)
鈴木裕介『頭の中のひとりごとを消す方法』(池田書店)

反すうでは、「なんであのとき失敗しちゃったんだろう」「私ってダメなやつ」など、抽象的、自己批判的な思考が繰り返されます。それにより、具体的な解決策を考える余地がなくなります。問題解決には、「どうすれば次はうまくいくか」といった具体的な視点が必要ですが、反すうはこの視点の切り替えを妨害してしまうのです。

たとえば、受験で失敗した学生が「自分は勉強ができない」という反すうモードに陥ったとします。すると、改善策(勉強方法の見直し)ではなく、

「なんで、こんなに時間をかけて勉強したのに点数がとれないんだ」
「そもそも、僕なんかが受けていい大学じゃなかったんだ」

など、自分を責めることに時間を費やしてしまいます。

反すう
イラストレーション=さくら

思考は続けているのですが、そのエネルギーはすべて自分を攻撃することに使われています。

それにより、ストレスホルモン(コルチゾール)が増加し、集中力や判断力が低下してしまいます。脳のキャパシティ(ワーキングメモリ)も奪われ、新しい解決策を考える力もそがれてしまいます。

本当なら「今後の進路の検討」や「勉強方法の見直し」などに使いたいエネルギーがすべて自分を攻撃することに消費されるのです。

実際に病院に行くまでに過度に反すうをする傾向のある女性は、胸のしこりに気づいてから、そうでない人より1カ月以上長くかかったという報告があります。ネガティブな感情や思考を頭の中でこねくり回して、悩み苦しんでいたのに、実際にしこりが見つかると、いち早く病院に行くのではなく、その行動を先送りにしたのです。心配や不安が強すぎて、身動きがとれなくなってしまっているんですね。

いろいろと考えていて、気になっていることがあるのに、学びにも解決にもつながらないどころか、むしろ解決するための行動を遅らせてしまう。反すうは、本当に困ることばかりの思考パターンなのです。

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