高市首相の国会答弁がきっかけで日中関係が悪化しているとされる。本当か。前駐豪大使の山上信吾さんの書籍『高市外交の正念場 反日勢力との闘い、日本再生の分岐点』(徳間書店)より、高市答弁の真相を紹介する――。
「台湾有事」答弁は何ら問題なかった
2025年11月7日の衆議院予算委員会における高市総理の「台湾有事」答弁は、中国があれほどまでに騒いで問題視するような特別なものであったのか?
答えは、明確なノーだ。
10年前に平和安全法制が議論された際、私は外務省における主管局である総合外交政策局審議官として、国会議員をはじめ各方面に説明にまわる機会が多かった。
この過程では、いかなる場合が存立危機事態にあたり、日本による集団的自衛権の行使が許されるかという点は最もホットな問題だった。
その際、台湾有事における海上封鎖も当然、シナリオの一つとして議論されていた。なんとなれば、国際法上、台湾に対する海上封鎖は明確な「武力の行使」にあたると解されているからだ。
岡田克也氏のしつこさが顕著だった
衆院予算委員会での岡田克也委員の質問は、まさにこの海上封鎖を前提にしたうえで、いかなる場合が存立危機事態にあたるかについての答弁を執拗に追及したものだった。
やりとりを見ると、台湾有事であっても存立危機事態にはあたらない、したがって、自衛隊が出動することはないとの言質をとろうとしているようにうかがえるこだわりとしつこさが顕著だった。
これに対して高市総理からは冷静に当然の法理を説明した。すでに海上封鎖が行われているという前提に立ち、その封鎖を解くべく米軍が出動し、それに対して中国が「戦艦」(海軍艦艇)を出動させるような場合には「存立危機事態」にあたる可能性があるとしたにすぎない。

