「愛し方」が特殊すぎる
もはやいい話ではない。ともすれば一種の変態の類いである。
妻の鼻根部を「一小平原」と表現し、指先で撫でながら「珍しい……」と呟いているわけだ。しかも、一雄が子供の頃の思い出として書いているところを見ると、一度や二度じゃなかったことが推測できる。そうなると、余計にちょっと八雲先生大丈夫かなと思ってしまう。
ここまで記して来たとおり、セツの家族(セツの養母は一貫して同居)、そして女中、さらには書生まで常日頃から同居している。しかも、一雄が鮮明に覚えているところを見ると、子供も増えてからの時期の出来事であろう。そんな家で、しかも子供の前で父親が母親の鼻の付け根を、撫でているのだ。八雲が、セツを愛しているのは間違いない。ただその愛し方が、あまりにも特殊だったのだというわけだ。
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