おいしいのに市場に出回らないブドウを…
この構想に確信を持てたのは、近所のブドウ農家さんがたまたま持ってきた、干しブドウがきっかけだった。
「余ったブドウ、こうやって干して大量にあるんだけど、まさかソーセージには使えないよね?」
巨峰やクイーンニーナ、シャインマスカットといった高級ブドウのハネ出しで、大粒で芳醇なおいしさなのに市場に出回らない品だった。その話を聞いた村上シェフの頭には、鶏肉や鴨の肉を伸ばし野菜やナッツ、ドライフルーツなどを抱き込み筒状に成形したフランス料理「ガランティーヌ」が浮かんだ。
「ブドウをセミドライにして平飼いの鶏ひき肉と合わせると、ジャムのようなテクスチャーになる。そこに、中華料理の鶏肉とカシューナッツ炒めのように、カシューナッツを加えれば、程よい粒感がアクセントになると思ったんです」
こうして「勝沼ぶどうと平飼い鶏のソーセージ」が2023年7月、完成した。
本マグロも枝豆も内蔵もソーセージに
また、未利用のわさびの葉や茎を塩漬けして豚肉と合わせた「奥多摩わさびのソーセージ」、コロナ禍で豊洲市場に余ったマグロの尾を、醤油で甘辛く煮て葱と合わせた「本マグロの葱鮪ソーセージ」なども過去に発表した。
山梨のブドウ、新潟の枝豆、大分の放牧牛の内臓など、全国に眠る規格外や端切れの食品、引き取り手のない食品を引き受け、レシピを考案し、ソーセージとして新たな命を吹き込んでいる。
2020~2024年には、ひよこ豆や本マグロなどを使って「ソーセージだけを詰めたおせち」を百貨店で販売。ソーセージだけで3万円という値段にもかかわらず、毎年リピーターがつくほど好評を得た。
「僕、詰め込みニストなんです。限られた空間に、いろいろな食材を詰めて自分の世界観を作り上げていく。その作業が、好きなんですよね。食材の生産者から話を持ちかけられると、誰も詰めたことがない難題であればあるほど燃えます。よく”宿題大好き詰めたがり屋の村上です!”って言っています」




