世界中に戦火が拡大している。米政権による年初のベネズエラ攻撃に続き、2月末にはイスラエルと米国がイランに対して大規模な軍事作戦を実行。その裏では、米中の睨み合いがじわじわと深刻さを増す――。
特に東アジアの地政学リスクを指摘するのが、国際関係論の世界的権威であるシカゴ大学のジョン・J・ミアシャイマー特別功労教授だ。
「冷戦時代に欧州本土で想定された米ソ間の戦争よりも、米中間の戦争が勃発する可能性のほうが高い」
同教授は、こう警鐘を鳴らす。「攻撃的リアリズム(現実主義)」論者のミアシャイマー教授は、冷戦終焉で世界は安全になるという理想論を否定。大国の覇権争いは続くと訴えてきた。
四半世紀前の名著『大国政治の悲劇』(奥山真司・訳、五月書房新社)では、終わりなき大国間のせめぎ合いという「悲劇」について論じている。
冷戦後の米国一極支配が終わり、世界は米中露の「多極時代」に突入。戦争リスクが高まるなか、トランプ政権は中国とのディール(取引)を重視し、同盟国を不安にさせている。
台湾有事の際、トランプ大統領はどう動くのか。高市首相は今月、米国による東アジアへの継続的関与を求めて訪米する。3月19日の日米首脳会談を前に、ミアシャイマー教授に話を聞いた。
――トランプ大統領は1月3日、ベネズエラに軍事攻撃を行いました。中国という大国の封じ込めよりも、弱い国への「いじめ」に関心があるのでは?
トランプ大統領が対中封じ込めに注力しているのは確かだ。昨年12月4日に米政府が発表した国家安全保障戦略(NSS)を見ても、対中封じ込めが主要任務であることがわかる。
一方、トランプ大統領はロシアと良好な関係を築こうしている。中国は米国にとって脅威だが、ロシアはそうではないとみなしているからだ。また、これも対中封じ込めが念頭にある。ロシアを「同盟国」のように扱うことで中露の緊密な関係にくさびを打ち込むことが重要だ、と考えているのだ。
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