職場の雰囲気を良くしたい時はどうすればいいか。経営コンサルタントの占部正尚さんは「ネガティブな発想をポジティブに変換する言葉がペップトーク(Pep Talk)だ。もともとアメリカのプロスポーツ界で生まれたものだが、ビジネスの場面でも役に立つ」という――。

※本稿は、占部正尚『心に火をつけるひと言 行動を生み出すペップトーク3つの物語』(ワニブックス)

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写真=iStock.com/jacoblund
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「でも」以降の言葉だけが記憶に残る

ペップトークが効く理由のひとつは、「言葉の順番」にあります。私が研修でよく紹介しているのが、“BUT&YES”と“YES&BETTER”の違いです。

行動心理学の研究者として知られるニール・ラッカム博士の著書にも、相手の努力をまず承認してから提案を伝える“YES & BETTER”型の話し方が、成果につながるコミュニケーションだという事例が複数出てきます。

私たちがつい言ってしまいがちなのは、「よく頑張ってるよ。でも、ここが全然ダメだ」という話し方です。

前半で褒めているつもりでも、「でも(BUT)」のひと言でそれまでの肯定が打ち消され、後半のダメ出しだけが相手の心に残ります。これが“BUT & YES(否定+指示)”のパターンです。脳は危険や否定のサインを優先して処理するため、「でも」の後の情報を強く記憶し、前半のねぎらいはほとんど残らないのです。

気持ちよくアドバイスを受け取ってもらえる

それに対して、ペップトークが大事にしているのは「YES & BETTER(承認+提案)」です。

「ここまで準備してきたのは本当にすごい。だからこそ、あとひとつだけここを工夫してみよう」という言い方に変えるだけで、受け取る印象は大きく変わります。

まず事実と努力をしっかり認め、そのうえで「より良くするための提案」をそっと添える。相手は、「否定された」のではなく、「味方として一緒に考えてくれている」と感じるので、心の扉を開いた状態でアドバイスを受け取ることができるのです。

もうひとつの理由は、脳が言葉の“枠(フレーム)”に非常に左右される、という点です。