「10人が死亡する」=「90人が生きる」

一例を挙げてみましょう。手術の説明の仕方として、

「100人のうち10人が5年後に亡くなります」

と伝えるのか、

「100人のうち90人が5年後も生きています」

と伝えるのかで、同じ数字でも受け取る印象がまったく違ってきます。これが、行動経済学で活用される“フレーミング効果”です。

日常生活でも同じことが起きています。

「難しい仕事だな」とつぶやくのか、「やりがいのある仕事だな」と言い換えるのか。

「ミスしたらどうしよう」と考えるのか、「ミスしてもリカバリーすればいい」と考えるのか。

ほんの少し言葉を変えるだけで、あなたの中に湧いてくる感情や、気持ちの軽さは大きく変わります。

私は、「人は言い訳をいかに論理的に積み上げるかにかけては天才だ」と感じています。だからこそ、その論理的な力を、前向きな行動につながる言葉に乗せ替えていくことが大事なのです。「どうせ無理だ」「自分には向いていない」といったセルフトークも、言い換え次第で、行動を後押しするフレームに変わっていきます。

同じ出来事を見ても、「失敗してしまった自分」とラベリングするのか、「挑戦した自分」とラベリングするのかで、その後に思いつく選択肢はまるで別物になります。

スマイルマークと悲しい顔のマークが描かれたブロック
写真=iStock.com/saifulasmee chede
※写真はイメージです

いつでもポジティブ変換できる人に

ペップトークが効く理由は、以下のように整理することができます。

①最初に“YES”で受け止めることで、防御反応を弱めること。
②“BETTER”の提案で、行動の方向性を具体化すること。
③言葉のフレーミングを変えることで、感情と行動の流れを変えること。

この3つです。これは相手を励ますときだけでなく、自分自身を立て直したいときにも、そのまま同じ順番で使うことができます。

あなたが誰かに声をかけるとき、まず一度、「今の自分の言い方はBUT&YESになっていないか?」と心の中でチェックしてみてください。

そして、「同じことをYES&BETTERで言うとしたら、どう言い換えられるだろう?」と考えてみる。このほんの数秒のセルフチェックが、ペップトークの第一歩になります。最初はぎこちなくても、回数を重ねるほど、自然と口ぐせが変わっていき、周りに力を分け与えることができるようになるはずです。