部下へのネガティブなフィードバックは難しい。パワハラと受け取られることなく改善点を伝えるにはどうすればいいのか。コミュニケーション講師の深谷百合子さんは「事実としての“行動”や“影響”に着目し、どうすれば改善できるのかを一緒に考えるようにするといい」という――。

※本稿は、深谷百合子『「この型」を使って○○をわかりやすく説明してください。』(SBクリエイティブ)の一部を再編集したものです。

カメラに指を向ける企業のビジネスマン
写真=iStock.com/PeopleImages
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一歩間違えると「パワハラ」になる

Q.1 遅刻した部下に注意してください

あなたの部下が寝坊で遅刻し、お客様との商談に間に合いませんでした。あなたはどのように注意しますか。まずは実際に考えてみましょう。

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ここからは、ネガティブなフィードバックについての型を紹介します。部下の「問題のある行動」に直面したとき、つい感情的になってしまいますよね。とくに、迷惑をかけた範囲が広がるほど、上司であるあなた自身の負担も増え、「勘弁してほしい」という気持ちになるものです。でも、次のような叱り方は、部下を萎縮させてしまったり、あなたの言動が「パワハラ」と受け取られてしまったりする可能性があります。

行動が変わらない叱り方の例

寝坊で遅刻するなんて、社会人としての自覚が足りない。次は絶対遅刻しないように。

「社会人としての自覚が足りない」「だらしがない」「何をやらせてもダメだ」のような言葉は人格否定につながります。自分はハッパをかけたつもりでも、相手は萎縮してしまい、あなたの顔色をうかがうようになるかもしれません。

注意の目的は「行動」を変えること

叱る、注意をするというような「ネガティブなフィードバック」をする目的は何でしょうか。それは、「その人自身」を変えることではなく、その人の「問題のある行動」を変え、相手の成長を促すことです。したがって、あくまでも「事実」としての「行動」や「影響」に着目し、どうすれば改善できるのかを一緒に考えるようにしましょう。

そのために使えるのが「同意→事実→仕組み」の型です。

「同意→事実→仕組み」の型を使って注意した例

【同意】あなたにとって少し耳の痛い話をするけれど、いいですか。今日の遅刻の件で、一緒に改善策を考えたいと思います。

【事実】あなたの遅刻によって、お客様をお待たせしてしまいました。その結果、商談の時間が足りず、本来今日決めるはずだったことを持ち越す形になりました。再度日程を調整する必要が生じ、お客様にもご負担をかけることになってしまいました。

【仕組み】今回の遅刻は、どこに原因があったと思いますか。同じことを繰り返さないために、あなた自身で工夫できることはありますか。

相手にとって耳の痛い話をするときには、いきなり本題に入ると相手は構えてしまいます。まずは「これから耳の痛い話をする」ことを伝え、同意を得ることで、相手の「聞く態勢」を整えます。