「巧妙な表現」ではなく「単なるウソ」
このように安倍元首相の言葉からはTPP交渉参加に前のめりな姿勢が目立つ。
要するに「聖域なき関税撤廃が前提なら反対」と言いながら、「反対論を抑え込んででもTPPには参加する」と考えていたことがはっきり読み取れるのである。その上で、選挙に勝った後に「公約破り」と言われないような「巧妙な表現」を考えた、と言っているわけだ。
ただ、自民党の選挙公約を見て「自民党に投票すればTPPに反対してくれる」と思った有権者も多かったことだろう。そういう方にとっては「巧妙な表現」どころか「単なるウソ」でしかない。
こうした「前科」があるがゆえ、「消費減税は悲願」も、「積極財政推進」も、懐疑的に見ざるを得ないところがある。
ちなみに「聖域なき関税撤廃がなければTPP反対」という表現と、「責任ある積極財政」という表現は、どことなく似通っている気もしてくる。
今後も「手のひら返し」は起こり得る
「聖域なき関税撤廃を前提とするならTPP反対」が、「事実上のTPP賛成」を意味していたように、「責任ある積極財政」も、「事実上の緊縮財政」を意味しているのではないのか。
前回の記事においてコメントをいただいた法政大学の小黒一正教授も、高市政権は事実上緊縮財政だという旨の指摘をしていた。
このように、少なくとも高市氏のブログを読む限り、今後も「手のひら返し」が起こり得ると思ったほうが良さそうだ。
一国の首相の発言ともなると、PRのスペシャリストも関わり、「巧妙な表現」が模索される。さらに総選挙ともなると高度な広報戦略に基づく情報戦が繰り広げられることになる。一見何気なく見える発言でも、実は大勢のスタッフが台本を練り上げて作っている可能性があるわけだ。
「消費減税は悲願」も「責任ある積極財政」も、どちらも話半分に聞いておかないと、コロッと騙されてしまう危険性があると言えるだろう。
