「競争相手がいない」JRの問題点

一方で、JR東日本にはダイヤよりももっと根本的な問題がある。

それが、「JRに利便性・速達性を持たせた沿線価値向上のモチベーションが湧かない」点である。

京葉線には競合と言える並行路線がない。京成は都心への速達性では比較にならない。総武快速線は自社線であり、快速といえどもラッシュ時の東京―蘇我間の所要時間は京葉線の各駅停車と変わらない。少なくともスピード競争だけで言えば努力をする必要がない。

私鉄各社は沿線人口・沿線価値を増やすための武器として、速達性や利便性の高いダイヤを目指すが、その競争相手は並走路線だけでなく、山手線を跨いだ向こう側の各線も含まれる。

ところがJRのように東京から四方八方に路線網を持つ企業にとっては、地方から出てきた人が東海道線に住もうが京葉線に住もうが変わらないし、中央線の住民が京葉線に移り住んだところでお客が増えるわけでも減るわけでもない。それならば、例えば東急が2022年に2〜3分の短縮のために祐天寺駅で通過待ちの線路を増やしたような投資努力をする気にもならないだろう。私鉄のように沿線の宅地開発などの外部事業によって収益アップを狙う構造にもしていないからなおさらだ。

競争原理が働く仕組みが必要

JRは完全民営化達成により、地域の声より利益拡大が優先になった。私企業なのだから当然といえば当然であるし、反対に自治体側も公共インフラとはいえ私企業のものにあれこれ口を出しにくい側面が強まったと言える。ただJRのような国力や地域の盛衰にも関わる重要インフラ企業を完全な私企業にしてしまって良かったのだろうか。

最近勢力を拡大している参政党は、郵政、水道、NTT、鉄道等の行き過ぎた民営化を見直し、再公営化を進めることを掲げている。筆者としては、JRの再国有化まではせずとも、民間の良いところを活かすため、JR株の半分を国が買い取り、転売禁止を条件に、沿線の各都道府県知事や市区町村長に持たせるなどのやり方もあるのではないかと思う。最近では京都府亀岡市が自主的に公費でJR西日本株を取得した例がある。

今回の京葉線のようなケースは、起終点が同じ鉄道路線を同一事業者が独占経営していることが原因の1つであるように思える。何らかの規制をかけ、並行路線の片方を上下分離とし、別会社に運営させる制度がなければ競争原理が働かず、京葉線のように片方の路線の地域が割を食う構造になる。ちょうど京葉線は駅構造上、JRの他線と改札を分離する改造がしやすい構造だ。