習近平が恐れる「ブーメラン」の正体
【山上】通常、中国が怒ったときには不買運動をします。それから大使館や総領事館にデモで押しかけて火炎瓶や卵を投げ込むことまでします。実際、2012年の尖閣諸島「国有化」のときにはしました。
ところが、その前段階として、あんまり知られていないのは、新華社や人民日報が、このことをほとんど報じていないことです。先週、中国出身の柯隆さんが、YouTubeの動画に一緒に出たときに話していました。中国国内で報じると、火の粉が広がってしまうので、中国政府自身がコントロールしているようです。
現在、中国経済が疲弊していて習近平体制に対する不満が高まっています。習近平としては、民衆の不満が自分たちに向くのが怖いのです。だから、日本に対して攻撃している分には問題ありませんが、日本に向かっていたはずの不満が自分たちに向かってきたらどうしようと習近平や中国共産党は戦々恐々としている面があるのです。
歴史を紐解けば、中国の王朝変換は易姓革命で、地方での反乱や民衆の不満から起きています。
だから領事の暴言を許す
【山上】義和団や太平天国の乱が一例です。だから、中国の為政者は民衆の不満に非常に敏感なのです。今は蛇口の水の開け閉めをするように民衆をコントロールしようとしていると感じます。
仮に不買運動が起きて、日本のものが買えないことになったら、民衆の反乱が起きる可能性があります。だから、日中関係がもめている最中であっても、イオンStoreは長沙に新たな店を開くことができました。経済がかなり低迷しているだけに、ここで外国資本に退かれたらとんでもないことになると思っているはずです。特に、言うことを聞きやすい日本企業は大切にとっておきたいでしょう。
【編集部】このような状況で高市政権がすべき態度はどのようなものでしょうか?
【山上】日本政府としては毅然と今までどおりの対応をしていくことが一番大事だと思います。ただし、今の日本政府で、私が一番改めなくてはいけないと考えているのが、情報戦への対応です。
薛剣の言動は誰も弁護できません。私は、主要国の大使や情報機関の幹部から、なぜ日本は薛剣を国外追放しないのかと問われたくらいです。それほどの悪質な問題なのです。

