今、世界を左右する巨大な感情がある。ノスタルジアだ。「過去が良かった、懐かしい」が社会を、政治を動かす。トランプ現象が典型だが、左派のマルクス再評価も同様だ。
未来に向かうべき人類が懐古に走るのはヤバい? この疑問に答えるのが『ノスタルジアは世界を滅ぼすのか』だ。英国の歴史学者である著者によれば、そもそもノスタルジアは死を招く「病気」として発見され、のちに「感情」と認知され、しまいに人心を操るマーケティングの道具になったという。
『ノスタルジアは世界を滅ぼすのか ある危険な感情の歴史』アグネス・アーノルド=フォースター 著 月谷真紀 訳/東洋経済新報社/2200円+税/『『世界名作劇場』の家と間取り』ちばかおり 著/エクスナレッジ/1900円+税
17世紀のスイス。故郷を離世界を左右すれた傭兵たちが望郷のあまり、鬱状態になり食事も取らなくなり、死に至る。ノスタルジアのせいだ。大航海時代以降、世界に打って出た欧州の宿命としてコレラや結核と並ぶ深刻な疾病とされた。
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