いかつい見た目も愛おしくなる最高の贅沢
煮つけは、上田流「泡煮」のおかげで煮汁を沸騰させ始めてから10分も経たずに完成。砂糖の甘さがあまり好きではない筆者は薄味にしてしまいがちだが、友人夫婦にはそれが良かったようだ。
「魚の味がくっきりとわかるのが嬉しい」(奥さん)
「魚のうまみと煮汁が染み込んだゴボウが旨いね」(旦那さん)
ただし、焼酎に合わせるのであれば、もう少し煮汁を甘くするべきだったかもしれない。
全員にヒットしたのは塩焼きだった。脂が少なめの魚なのに、しっとりふっくらした食感で、穏やかなうまみがにじみ出てくる。
特に人気だったのはカマ。身よりも脂があり、上田流二段塩によって奥にまでしっかりと塩味が入っている。箸でちまちまとほじると、骨の間からも肉が出てくる。つまり、酒の肴にして長々と食べ続けるのに最適なのだ。
「いい塩加減ですね~。柑橘を絞ってもいいかも……。これは焼酎よりも日本酒ですね」
焼酎バーの店主がつぶやき、全員がうなずいた。
イラはいかつい見た目で評価が低いと冒頭に書いたが、実際に損をしているのは魚ではなく人間だ。今回購入した1キロ超のイラは2200円。同サイズの天然ヒラメを鮮魚店で買えば、安く見積もっても5000円はする。つまり、半値以下でヒラメを凌駕する味を手に入れられる計算だ。一般的な高級魚の概念にとらわれない選択が、最高の贅沢への近道となる。
イラ。こんなにお得でうまいと、無骨な見た目も愛おしく思えてくる。見かけたら「即買い」の魚だと覚えておきたい。





