物価高に対応するためとはいえ、年始までケチケチしたくない。価格控え目でも気分が上がる料理はないか。ライターの大宮冬洋さんが「すき焼き」の変化球を模索した――。

3000円で6人分の贅沢料理を作る

年始はちょっと贅沢な食事をしたい。でも、胃もたれや体重増加が気になる。家族が多いほど外食費はかさんでしまう。家で食べるにしても、魚介類も総じて高くなる時期なので、カニやマグロを買おうとすると大変なことになる。

「庶民的な魚、例えばサバをランクアップして食べるのはいかがですか? ウエカツさんが作るサバの紅白なますは華やかですごくおいしいですよ。サバすきもいいですね。すき焼きなので気分は上がるし、牛肉などと比べてサバは胃も疲れません」

ここは鎌倉にある鮮魚店「サカナヤマルカマ(以下、マルカマ)」。企画・広報を務める狩野真実さんがおすすめするのはマサバ(以下、単にサバ)。元水産庁職員でマルカマのアドバイザーでもある「魚の伝道師・ウエカツ」こと上田勝彦さんがときどき作る「サバの紅白なます」は店頭に並べるとほぼ確実に売り切れる人気商品らしい。材料はニンジンと大根、サバだから安心の価格だ。

この日にマルカマで売られていたのは地元の小田原港で水揚げされたばかりのサバ。600グラム超のものが1尾1000円。激安とは言えないが、3尾もあれば6人分ぐらいにはなる。3000円で気分が上がる料理を2品作ろう。

サカナヤマルカマで魚を学ぶボランティアスタッフが持つ600グラム超のサバ
筆者撮影
サカナヤマルカマで魚を学ぶボランティアスタッフが持つ600グラム超のサバ

ちょうどいい締め具合は味見で実現

生活習慣病のリスクを抑え、焼いても煮ても揚げてもおいしいサバ。秋から冬にいい脂をのせていくので食べ頃でもある。その万能選手ぶりは以前にも記事にしたが、反省点は締めサバの締め具合が足りなかったこと。締めサバは今回のなますでも使うので、上田さんに教わり直してリベンジしたい。

「まずは塩サバを作る。三枚におろしたサバを5分ほど氷水に浸して血を抜き、水を切って塩を当てる。サバの身に塩をきっちり入れたいので、塩まみれになるぐらいにして30分から1時間置く。サバの表面がかたくなるのが目安だよ」

かたくなったら真水で塩を洗い流してしっかり拭く。ラップで包んで冷凍庫で一晩置く。

「サバにはアニサキスという寄生虫がいることがあるが、冷凍すれば死ぬので安全だ」

上田さんが教えてくれた塩サバ。このまま焼いてもおいしいけれど、ここでは酢に漬けて締めサバにする。用意するのは常温で解凍した塩サバ、酢、みりん、昆布だ。

「酢にみりんを少しずつ加えて味をみる。酸味がまろやかになるところを探そう。みりん酢ができたら昆布を入れて、水気を拭いたサバを漬ける。1時間ほどしたら少し切って食べてみれば締め具合がわかるよ」

こまめに味見をすれば自分好みの締め具合に仕上げられる。これで失敗がなくなるぞ。皮は一般的には剝ぎ取るが、酢で柔らかくなっているので取らなくてもいい。腹骨をすいて血合い骨を抜けば、締めサバの完成。1.5センチぐらいの幅で長さが同じになるように切り分ければそのままで美味しく食べられる。ワサビ醤油も合う。