夢と希望で突っ走っても、制度がなければ続かない

典型的なのが、秀吉死後の五大老・五奉行である。これで秀頼を盛り立ててうまく回ると、当時の人だって誰も思わなかっただろう。

まず、五大老のメンバーをみれば失敗は一目瞭然である。

徳川家康は250万石の独立大名で、秀吉と互角に戦った相手。前田利家は83万石で元は織田家臣、秀吉の同僚だ。毛利輝元は120万石の中国地方の大大名で元は敵対勢力。上杉景勝は120万石の越後の大名で元は独立勢力。宇喜多秀家は57万石で秀吉の養女を娶ったが、やはり元は独立勢力。

この5人で「6歳の秀頼様を支えましょう」って、無理だろう。

しかも五奉行も酷い。浅野長政、石田三成、増田長盛、長束正家、前田玄以。確かに秀吉の側近ではあるが、彼らに大大名たちを統制する力は……ない。

現代企業で例えるなら、こうだ。

「創業社長が急死しました。後継者は小学1年生の息子です。取締役会のメンバーは、ライバル企業の社長や提携先企業の会長です。あと、うちの部長クラスを何人か入れて、彼らに取締役会を仕切らせます」

そんなわけあるか‼

案の定、五大老のバランサー役だった前田利家が死んだ翌年の1600年、徳川家康が動き出し、関ヶ原の戦いが勃発。秀吉死後わずか2年で、この茶番は終わった。

熱い兄弟が夢と希望を胸に突っ走っても、制度がなければ続かない。情熱だけではどうにもならないのが歴史の真実だ。

(初公開日:2026年1月26日)

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