セーヌ川のほとりで感じた豊かさ

まだ外資系投資機関で働いていた頃、ロンドン出張のついでにパリに寄ることがよくありました。情報収集の海外視察を効率よくこなすには、出張後に自費で「ちょっと足を延ばす」というのも、いいやり方だと思います。

そんなパリ視察が、たまたま日曜日と重なってしまったことがありました。かなり観光客が多いところは別として、ヨーロッパは今でも日曜日になるとお店もスーパーも閉まるのがデフォルトというところがあります。

そこでなるべく「最終日が土日になる出張」は避けていたのですが、あくまで出張が主なので、自分の都合を優先できません。

仕方ないと割り切った私は、前日にパンとハムとチーズを買っておきました。全然高くない普通のワインを飲み、切っただけのおつまみでのんびり過ごしました。

街を視察する気分でもなく、閉まっているお店も多いので、近くの公園に散歩に出かけると、たくさんの人がいました。

夏の終わり、からりとしたセーヌ川のほとりで、思い思いにくつろぐたくさんの人たち。のんびり本を読んだり、子どもを遊ばせたり、犬を連れていたりして、陽の光を浴びたり、楽しんでいます。

その光景をぼんやり眺めているうちに、心が静かに満たされていきました。

何にお金を使い、何に時間を使うか

公園の後はパリ在住の友人の家に行き、夕食前のアペロを楽しみました。と言うとおしゃれっぽいのですが、ちゃんと食事をする前に、ワインと共にハムやオリーブなどのおつまみとおしゃべりを楽しむ、カジュアルで昔ながらの習慣です。

友人宅で出されたのも、高くないスッキリした白ワインとオリーブと生ハムだけ。

仕事について、子育てについて、お金のことや世界情勢について、あるいはジェンダーのことなど、おしゃべりに夢中になっていて気がついたら夜の9時でした。

「マキコもみんなも、お腹すいたよね?」

そう言って作ってくれたディナーは、パスタ。唐辛子とオリーブオイルのパスタにトリュフ塩をかけたもので、サラダもない、メインもない、見栄えもちっとも盛れていない、飾り気のないパスタです。

そのシンプルで質素なパスタが、もう、とびきりおいしくて。

私はそのパリで、ゆっくり流れる時間をたっぷりと堪能して思いました。

「ああ、なんて贅沢なんだろう」

人生の贅沢はいろいろあり、お金はそのために必要不可欠です。

しかし、時間も同じように必要不可欠です。

河村真木子『外資系金融ママがわが子へ伝えたい 人生とお金の本質』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)
河村真木子『外資系金融ママがわが子へ伝えたい 人生とお金の本質』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)

「何にお金を使い、何に時間を使うか」

それをまず自分に問い、子どもと共に考えていきましょう。

繰り返し考え、自分の軸ができたら、自分の人生を自分のものとして、生きていけると思うのです。

「何にお金を使ったらあなたは幸せを感じますか?」

たぶん答えは、人それぞれ違うのでしょう。

だからこそ「お金の使い方」は、自分の価値観を教えてくれる大切な学びとなるのです。

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