関係者全員を味方につける「神対応」
各国を飛び回る事だけでも凄いのに、クルーズが本当に凄いのは、来日中の彼の姿勢が一貫してさわやかなことである。
これは間違いなく、彼のセルフプロデュースの能力だと思うのだが、どんな映像を見ても彼は常にあのクルーズ特有の笑顔(ベン・スティラーが真似するやつ)をたたえ、礼儀正しく相手に接する。
YouTubeに上がっている取材時の様子やアメリカのテレビ番組の収録の様子を見る限り、彼は取材記者のみならずカメラマンやアシスタントなど、その部屋にいるひとりひとりと握手をし、丁寧にあいさつをし、相手の名前を聞いて覚える。
私も20年間の配給会社での仕事において、数々のハリウッドスターの来日を経験したが、こんな俳優は一人もいなかった。こうすることでクルーズは、作品を配給するスタッフから取材する記者まで、すべての関係者を味方につける。
その好印象が関係者の士気を高め、良い記事や露出につながることをプロデューサーとしてきちんと認識しているのだ。
炎上しても揺るがない信頼
そしてインタビューの中では常に、「自分は恵まれている」「映画を作り続けることが自分の夢」と、たゆまない映画愛を繰り返し語る。過去には何回か、レッドカーペットで水をかけられたり、インタビューで失礼な物言いをされたり、踏み込んだ質問をされたことがある。
そんな時も彼は冷静に相手と向き合い、ごまかすことなくはっきりと「君は失礼だ」「一線を越えている」と伝える。見ている私達は、こうした彼の言動に感動し、ますます彼のファンになっていく。無礼を働いた相手は皆、自分の醜態をさらけ出しただけの結果で終わる。
数年前のコロナ禍の中で一度、M:Iシリーズの現場でスタッフを怒鳴る彼の罵声がリークしたことがあった。ヒステリックに叫ぶ彼の声は瞬く間にSNSで拡散され、彼を批判する声が多く上がった。
少しでも過剰に怒るとすぐにパワハラ、モラハラと叫ばれる昨今、彼の罵声が非難されるのは必然と言わざるを得ないが、そのバッシングの数日後には映画業界の内外からクルーズ擁護の声が上回り、醜聞は数週間で消えることとなった。

