罵声の裏にあった現場への責任感

これは、クルーズが激怒した原因が、コロナ禍の制作現場でのルールを守らなかったクルーに対して、制作に関する責任を負い、自ら命がけで制作に臨んでいるクルーズの現場を守る気持ちから出たものであり、罵声の中でクルーズが言っていた主張が、至極まっとうなものであったことに起因している。

彼の映画制作に対する誠実な姿勢や、主演俳優として積み重ねてきた努力は世界中の誰もが知るところで、世間にとって彼の一度の人間的な失敗は、それまでの功績に比べたら許されるべきものだった。これはまさに、自分のパブリックイメージを一貫して統一し、映画作りに命をかける俳優、トム・クルーズを確立してきた成果だろう。

彼のインタビュー映像を見ていると、彼の受け答えはセルフプロデュースの賜物だということが良くわかる。働き者の彼は、さまざまな国の色々な媒体で取材を受けるが、どの時代も作品も、返答する際のフォーカスがそれぞれに決まっており、準備をしてきたことが良くわかるのだ。