年の離れた仲間が活力復活の鍵に

年齢を重ねるにつれ、気力の衰えを感じる人は多いようです。長く働いて経験は十分あるのに、その知見やスキルを発揮する機会が得られないと、活力や意欲はますます低下します。私も60代半ばになりましたが、同窓会に出席すると、同世代の友人たちから再就職や再雇用の厳しさを聞くことが増えました。

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とはいえ、今の60代はまだまだ元気です。若い頃と同じような働き方はできなくても、気力さえ持ち続ければ、いくつになっても活躍の場を見いだすことはできるはずです。自分ももう一度、働く気力を取り戻したい。そんなときに手に取りたいのが、ヘミングウェイの代表作『老人と海』です。

いわずと知れた名作であり、作品自体は短くてストーリーもシンプルなので、中高生の頃に読んだ人も多いのではないでしょうか。私も初めて読んだのは10代の頃ですが、年齢を重ねてから読み返すと主人公の老人の気持ちが一層リアルに感じられ、心に染みるものがあります。

「かれは年をとっていた。メキシコ湾流に小舟を浮べ、ひとりで魚をとって日をおくっていたが、一匹も釣れない日が八十四日もつづいた」

これが老人の現状でした。漁師として長い経験があっても、なかなか成果を出せない年齢になったという厳しい現実を突きつけられる出だしです。それでも彼の気力は衰えていませんでした。

「この男に関するかぎり、なにもかも古かった。ただ眼だけがちがう。それは海とおなじ色をたたえ、不屈な生気をみなぎらせていた」

肉体は年老いても、簡単には折れない強い精神を持ち続けていることが伝わる描写です。

それに老人には、心を通わせ合う漁師仲間がいました。相手は少し前まで彼の船に同乗していた少年で、老人が魚を釣れなくなってからは、両親に命じられて他の船で漁に出ていました。それでも少年は、自分が幼い頃から魚の釣り方を教えてくれた老人を慕い、「また一緒に行きたいなあ」とせがみます。

「世界一の漁師はお爺じいさんだね」
「ありがとう。お前はおれをうれしがらせてくれる」

二人の間で交わされる会話を読むだけで、心がほっこりと温かくなります。年長者が培ってきた経験を若者に伝え、若者は年長者に信頼と尊敬の念を抱く。そのことが年長者にとって励みになり、まだまだ頑張ろうという気力が湧いてくる。そんな関係性が伝わってきます。

(構成=塚田有香 撮影=川しまゆうこ イラストレーション=米山夏子 *原文はナビつき洋書シリーズ『老人と海』(IBC パブリッシング)より引用)

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