自民党単独で260議席を得て圧勝する?

高市早苗首相(自民党総裁)は、1月23日に召集される通常国会の冒頭で衆院を解散する。読売新聞の1月9日深夜(10日付紙面)のスクープ報道で、その検討に入ったことが明らかになっていた。衆院選は1月27日公示――2月8日投開票という短期決戦になる。

伊勢神宮内宮の参拝に向かう高市首相(左から2人目)=2026年1月5日午後、三重県伊勢市
写真=共同通信社
伊勢神宮内宮の参拝に向かう高市首相(左から2人目)=2026年1月5日午後、三重県伊勢市

首相は、読売報道で解散風が吹き出してから暫く沈黙を保ったが、14日に自身の地元・奈良での日韓首脳会談に関連する外交行事から帰京し、その夜、首相官邸で自民党の鈴木俊一幹事長、日本維新の会の吉村洋文代表(大阪府知事)らに衆院早期解散の意向を伝え、記者団にもその旨を表明した。首相は、政権の枠組みが自民、公明両党から自民、維新両党の連立(閣外協力)に変わったことへ国民の信を問う考えを示した。

首相としては「責任ある積極財政」を掲げてきたが、参院は少数与党で、政府・自民党内に異論もあるため、国民の信任を得て、政権基盤を強化し、自らの政策推進力を高めたいとの狙いもあるだろう。

首相は、就任以来、読売新聞など世論調査で70%台の内閣支持率を維持し、自民党の昨年11月の情勢調査で単独で260議席を得て圧勝するとの見通しもあって、衆院解散を決断したと思われる。

垣間見えるのは、後継者を自任する安倍晋三元首相の影である。政局の主導権を握ってトップダウンで決定すること、衆院解散など重要な政治決断は情報管理を徹底するなど、その政治手法を真似ているフシがある。

だが、首相は、麻生太郎副総裁や鈴木氏、萩生田光一幹事長代行ら要路にさえ事前の根回しをしなかったことで党内に混乱を呼んだ。安倍氏が解散時に与党・公明党の支持母体の創価学会首脳を含めた各方面に丁寧に根回ししていたのとは対照的と言える。

仮に衆院選に勝利しても、高市首相の安定感を欠く政権運営、リーダーとしての資質に疑いを覚えざるを得ないのではないか。

「支持率が高い時に選挙をやればいい」

1月の衆院解散は1990年の海部俊樹首相以来36年ぶりで、異例の真冬の総選挙になる。

今回の冒頭解散検討の報道は、ほとんどの政界関係者にとって寝耳に水だった。今年中に衆院解散があるにしても、早くて26年度予算成立後、通常国会会期末か、秋の臨時国会中というのが通り相場だったからだ。

首相は、政策最優先の立場で、予算案の年度内成立を図る意向を示していた。自民党の梶山弘志国会対策委員長が昨年12月25日、立民党の笠浩史国会対策委員長に1月23日召集の政府方針を伝えた段階で、冒頭解散は選択肢から消えたはずだった。1月解散では予算成立が4月以降にずれ込み、暫定予算を組まざるを得ないという事情がある。

だが、総務省の選挙部管理課は10日、読売報道を受け、各都道府県の選挙管理委員会に対し、衆院選の準備を進めるよう「至急の連絡」を発出する。総務省が木原稔官房長官の了承なしに事務連絡を出すことはないため、永田町関係者には、半信半疑ながら、首相官邸の意思が早期解散にあることが知れ渡った。マーケットでは株価上昇、円安が進行した。