交渉事で相手の本音を引き出すにはどうすればいいか。弁護士の嵩原安三郎さんは「私の知人のケースで、以前住宅地への介護施設建設に反対する人がいたが、『仮定の話』をして本音を引き出した後に質問&応答を繰り返すと、あっさり賛成に転じた」という――。
※本稿は、嵩原安三郎『ワンランク上の交渉力』(三笠書房)の一部を再編集したものです。
本音が見えてくる「仮定」の問いかけ
一見、通らないかに思われた提案が、相手の本音を徹底的に引き出したことで、よりよい形で成就する――。
そんなミラクルを起こせるのは、本音を引き出す交渉術の醍醐味の1つです。
まず、相手の本音がどこにあるのかわからない状態で、「こうしたほうがいいに決まっている」といった決めつけは禁物です。
決めつけてかかったとたんに、「あなたの提案には乗れない」と、交渉の扉を閉じられてしまうでしょう。
ここで問われるのは、いうまでもなく「聞き出す力」。そして、聞き出すには、自分の提案に、ある程度の「遊び」、つまり「変更可能な余白」を持たせたうえで、相手に問いかけていくことです。
では、どう問いかけたらいいか。簡単です。「もし〜」と聞いていけばいいだけなのです。
「もし〜」というのは、「もし〜だとしたら、どうでしょう?」という具合に「仮定の話」をすることで、本音を引き出すという問いかけテクニックです。「明るい将来」を仮定するイメージです。名付けて「バラ色のみらい」話法です。
私の知人のケースなのですが、以前、こんなことがありました。
古くから住んでいる人が多い住宅地に、介護施設建設の案が持ち上がりました。
ところが、その地域の住民会の主要メンバー2人が、普段から折り合いが悪く、なかなか話が前に進みません。

