双方の意見が分かれた際に、最適解を見つけるにはどうすればいいか。弁護士の嵩原安三郎さんは「たとえば家族旅行の相談をするなかで、家族間で行き先が割れた際には、解釈をはさんではいけない。すばらしい休日を家族で過ごすためには事前の交渉が必要だ」という――。

※本稿は、嵩原安三郎『ワンランク上の交渉力』(三笠書房)の一部を再編集したものです。

軽井沢の森林コテージ
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「交渉上手=話し上手」とは限らない

次々と言葉を繰り出し、ロジックにもスキがなく、相手を次々と「論破」し、すべてを自分の有利なほうに持っていく――。

「交渉上手」というと、そんなイメージが浮かぶのではないでしょうか。

しかし、このイメージは間違っている、といったらどうでしょう。言葉巧みにロジカルに話すことに長けている人、いわゆる「話し上手」が、交渉上手とは限らない。むしろ、そうした「力量」が交渉の足を引っ張ることも多いのだ、と。

にわかには信じられないかもしれませんが、じつはそうなのです。

「自分は話し上手だ」という自負がある人は、往々にして、交渉の進め方がワンパターンになりがちです。

自分で「ここが落としどころだ」と思っているところがあって、そこに話を持っていくための論理構成を考える。相手の質問や反論はすべてはじき返す――。

もちろん、思いどおりになることもあるでしょう。

でも、それを「上手に交渉した」とはいいません。なぜなら、「思いどおりに進んだ」というのは、多くの場合、たまたま、相手も同じような落としどころを想定しており、早々に交渉成立に至っただけであることが大半だからです。

つまり自分の交渉力の為せる業でも何でもなく、最初からお互い暗黙のうちに決まっていたゴールに到達しただけなのです。最初から「妥当な価格」が決まっている「市場の値切り交渉」と同じように。