交渉の上手い人は何をしているか。弁護士の嵩原安三郎さんは「すべての交渉に共通して、『なるべく痛みが少ないところから提示する』という発想の『小出し交渉』は避けたほうがいい。こちらが譲歩をするときには『相手の予想を上回る』『相手にサプライズを与える』ことがポイントになる」という――。

※本稿は、嵩原安三郎『ワンランク上の交渉力』(三笠書房)の一部を再編集したものです。

不動産の契約を交渉するビジネスマン
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「交渉下手」が陥る二大パターン

自分と相手の両方を満足させるか、自分を満足させるか、相手を満足させるか――満足させる人が違えば、当然、用いるべき技術もまったく違います。

一方、すべての交渉に共通して、2つほど注意してほしいことがあります。いずれも交渉下手が陥りやすいパターンです。具体的なテクニックに入る前のウォーミングアップがてら、ここでまとめておきましょう。

まず1つめは、条件を「小出しにする」というパターン。

たとえば、こちらが譲歩しなければいけないときに、1割譲歩する案、2割譲歩する案、3割譲歩する案があったとします。値段交渉などでは、よくある話でしょう。「どのような要望まで受け入れるか」ということもあります。

譲歩する割合は少ないほうが、当然、こちらの利益減は軽く済みます。だから多くの人は、まず1割譲歩を提示し、それでダメなら2割譲歩、それでもダメなら3割譲歩と、条件を小出しにします。

しかし、こういう進め方をするのは、じつは交渉上手とはいえません。

仮に最大限に譲歩できるのが3割ならば、じつは最初から3割譲歩を提示してしまったほうがいい。少なくとも、2割5分までは一気に譲歩してください。すると結果的には、こちらに有利に交渉を運べることが多いのです。