部下との相性が悪いと感じるとき、上司はどう対処すればいいのか。大手外資系企業を中心に年間1000件以上の面談を行っている産業医の武神健之さんは「相性の問題は仕方がないことだ。他人は変えられないが、自分自身の認識と行動を変えると結果が変わってくる」という――。
オフィスで朝礼をするビジネスパーソン
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「部下と合わない」上司のストレス

こんにちは、産業医の武神です。1年を通じて産業医面談の中でよく持ち上がってくる課題が、対人関係ストレスです。その多くは上司へのストレスに関するものですが、中には「部下と合わない」というストレスを訴える上司もいます。

今月はこのようなとき、上司―部下間の相性問題を乗り越えるために、私がどのようなお話をしているかをご紹介させていただきます。

実際に上司の訴えとしてよくあるのは、「部下Aはミーティングでは黙っているのに、後になって指示への文句や反対を同僚に言うのでチームとしての業務がはかどらない」、「部下Bはいつも私(上司)の指示に反論してきて、こっちが疲弊してしまう」、「部下Cは優秀。だが、協調性がなく同僚たちと協力して業務をこなせない。チームとしては扱いづらくて困っている」などです。

そして上司たちは、注意をしても改善が見られず、強めに言いたいのだけれども、最近は、「発言をパワハラ・セクハラと言われるのではないか」と気にして、対処に困っている印象です。

上司のストレスはチームのパフォーマンス低下を招く

上司が部下との相性にストレスを抱えている場合、そのせいで上司がメンタル休職になるほど医学的に深刻になることは、私の経験上あまりないように感じます。しかし、これはこれで厄介な問題です。なぜなら、このストレスは前回お話しした「上司と合わない部下」の悩みと同様、上手に対処しないと、どちらかが辞めない限り続く、終わりの見えないストレスになりかねないからです。

また、上司の抱えるストレスは、上司本人だけの消耗だけでなく、チーム全体のパフォーマンス低下という形で組織全体に跳ね返ってしまう可能性もあります。

私は、そのような上司たちに産業医として、傾聴と共感のスタンスで相手と向き合うのは当然のこととして、タイミングをみて、以下3つの内容を伝えています。

まずは関係性の改善を試みること。ダメならば感情と仕事を分離して部下を“役割・機能”として捉えること。そして、お互いのためにルール設定をすることです。