北海道の電気料金が日本一高い水準となっている。一体なぜなのか。経済ジャーナリストの櫛田泉さんは「原発が長年停止し、火力発電に依存しているため燃料費高騰の影響をもろに受けている。小泉進次郎元環境相と知事がタッグを組んで推進したメガソーラーも相次いで問題が発覚するなど、北海道のエネルギー施策は迷走している」という――。
釧路湿原周辺の工事現場 太陽光施設歯止め条例成立
写真=共同通信社
釧路湿原周辺で建設が進む大規模太陽光発電所(メガソーラー)の工事現場=2025年8月、北海道釧路市

メガソーラーを推進し、原発再稼働も容認する北海道

日本最大の湿原で、固有の動植物が数多く生息していることでも知られる北海道の釧路湿原がいま、メガソーラーの建設を巡って大きく揺れている。開発業者による森林法違反、盛土規制法違反に加え、天然記念物の生息調査が十分に行われていないことなどが明らかになり、メガソーラーを推進した鈴木直道・北海道知事に対するリコールデモにまで発展した。

自然エネルギーを推進する一方、鈴木知事は12月10日、13年にわたり停止している北海道電力泊原発の再稼働容認を表明。これにより、日本一高いと言われている北海道の電気料金が下がる見通しになったが、北海道庁の東西を挟む形で原発反対デモとメガソーラー反対デモが同時に行われるなど、北海道のエネルギー問題を巡って、北海道民は不信感を募らせている。

この問題の本質は、小泉進次郎元環境大臣が特に北海道で力を入れて推進してきたカーボンニュートラル政策にあった。

小泉環境相と鈴木知事が力を入れた「ゼロカーボン」

「(鈴木)知事と取り組んできたカーボンニュートラルは、北海道は国よりも先に一歩前に進めた」――。

2023年2月12日、北海道上川町で開催された「G7ゼロカーボンミーティングin層雲峡」のイベント後、小泉氏は鈴木知事とともに力強く語っている。

鈴木知事は2020年3月、気候変動問題に対して長期的な視点で取り組むために、「2050年までに温室効果ガス排出量の実質ゼロをめざす」ことを表明。2021年3月に「北海道地球温暖化対策推進計画(第3次)」を策定した。

この計画では、太陽光発電や再生可能エネルギーの推進と森林による二酸化炭素の吸収など、北海道の強みを最大限に活用し、脱炭素化や持続可能な地域づくりを同時に進めるとした。そして、2050年までに、環境と経済・社会が調和しながら成長を続ける北の大地「ゼロカーボン北海道」の実現を目指すことが目標に定められている。