ことばと小さな行動が習慣を生む

「どんなことばを使えばよいか」は次節で詳しく説明しますが、この「言語化+行動開始」の組み合わせは、単なる習慣化テクニックではなく、脳の生理的な仕組みに沿った方法です。

やる気を待つのではなく、「あなたは○○をしたほうが素敵になれる!」のようにセルフトークしてしまう。そうすることで、まず体を動かし、そこで得られる微細な達成感や感覚をさらにことばにして、「自分はやり始めた」と認識する。すると、脳内では報酬予測の回路が回り始め、やる気を後押しするのです。

若いアジアのビジネスマン
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これが、やる気のエンジンに点火する最もシンプルで科学的な方法です。やる気は「スイッチ」ではありません。簡単にパチッとオンにすることなんてできないのです。自動車やプロペラ飛行機などのエンジンと同じく、最初は無理やり動かす。そして、動き始めるとあとは波に乗って回り続ける。まさにそういう装置なのです。

まず言語化でやる気の種を植え付けて、たとえ小さくても行動を始める。そうすることで、脳内のドーパミンが活性化し、気分が向上し、さらに行動が繰り返されれば、それはやがて努力を必要としない「習慣」となります。

この習慣の積み重ねが、私たちの「やる気」のエンジンを常に温め続け、生活をより豊かにしてくれるのです。

[言語化のよい習慣]
行動を促すことばを口にし、まずは動き出す。