男の本性は、切羽詰まったときに現れるもの。そんな「崖っ淵男たち」との駆け引きが仕事の借金督促業務のプロOLが指南する、頼りがいのある男の選び方とは。

男性が威圧的なのは自信がないから

榎本まみさん

私は毎日、朝から晩まで借金を返さない人に督促の電話をかける仕事をしています。相手からストーカー呼ばわりされたり、電話口で「ぶっ殺す!」と言われることも日常茶飯事。

「なぜ、そんなたいへんな仕事をしているんですか?」とよく聞かれるのですが、私が就職活動をしたのは超氷河期と呼ばれた就職難の時代でした。私立文系で目立った特技もなく、口下手で面接が苦手な私は次々と選考で落とされました。大学4年の夏にやっともらった内定がクレジットカード会社。そこで配属されたのが債権回収部門のコールセンターだったのです。

督促の仕事をするようになって知ったこと、気付いたことはたくさんあるのですが、なかでも1番変わったのは男性の見方です。やはり、人間はお金がないと心に余裕がなくなるので、本性が現れやすいんです。督促の電話に急に怒り出す人、泣く人、押し黙る人、理性的に理詰めで攻めてくる人、まったく理屈が通らなくなっちゃう人、開き直っちゃう人と、様々なタイプがあります。1番多いのが怒る人ですね。

私はこれまで、ぐいぐい私を引っ張っていってくれる押しの強い男性が好きで、いつもニコニコしている穏やかな男性を頼りないと思っていました。気の弱い私は、押しの強い男性の「おまえはダメだ! 価値がない」と言ったりする上から目線の叱咤をリーダーシップがあると勘違いしていたのです。督促の電話でも人の話しを聞かずにすぐに怒鳴るタイプですね(笑)。

ところが、仕事でお客様に怒鳴られ続けていると、怒鳴るのは怒鳴る側に非があったり、後ろめたいことがあるからだと気がついたのです。そうすると、タクシーの運転手さんに横柄だったりする俺様タイプの彼の姿勢が、実は自信のなさの裏返しだったと目が覚めたのです。こういうタイプは反論に弱い。自分の弱さを守るために虚勢を張っていたわけですから、反論されると途端にオロオロするんです。おかげでだめんずから脱却することができました(笑)。