日本にはさまざまな機械メーカーが存在するが、その中には世界シェアNo.1の企業が数多くあり、日本経済のみならず世界経済を支えている。なかでも山口県宇部市にある食品加工機械メーカーのヤナギヤは、「カニカマ製造装置」で世界シェア7割を誇る。従業員わずか160人の非上場企業は、いかにして“世界一企業”となったのか――。

※本稿は、田宮寛之『日本人が知らない‼ 世界シェアNo.1のすごい日本企業』(プレジデント社)の一部を再編集したものです。

世界経済を支える日本の機械メーカー

日本はモノづくりの国と呼ばれるが、モノづくりでまず思い浮かぶのは自動車工場や化学コンビナートなどの製造風景だろう。工場内で最も重要なのは生産物だが、生産活動で使用される機械や工具なども重要であることは言うまでもない。機械の優劣で生産物の品質は大きく変わる。

機械の中でも熔接や塗装、組み立てなどの作業を人に代わって行うロボットは花形的な存在だ。また、製造業に限らず、医療や警備などさまざまな現場でもロボットの活用が急増している。

世界には多くのロボットメーカーがあるが、日本のファナック、安川電機、スイスのABB、ドイツのKUKAが大手4強で、これらの企業はビジネス界で存在感が大きい。

しかし、ロボットだけが機械ではない。日本にはロボットメーカー以外にさまざまな機械メーカーが存在する。その中には多数のグローバル・ニッチ・トップ(GNT)企業があり、日本経済のみならず世界経済を支えている。

世界のニッチ市場を制すGNT企業

グローバル・ニッチ・トップ企業とは、世界のニッチ(すき間)分野で勝ち抜き、サプライチェーン上で重要な製品を持つ優良企業を指す。欧州でピーター・ドラッカーの次に影響力のある経営思想家と称されるハーマン・サイモンは、GNT企業を「Hidden Champions(隠れたチャンピオン)」と呼ぶ。目立たないが技術やノウハウにすぐれており、経済を支える企業という意味だ。

じつは、自動車業界のような巨大マーケットではなく、小規模なマーケットで世界シェアが圧倒的に高く、世界のサプライチェーンで非常に重要な企業が日本にはたくさんある。本稿では、数ある日本のGNT企業の中から機械分野で世界シェアトップを占める地方企業を紹介したい。

戦後日本で「食品の三大発明」

戦後日本で「食品の三大発明」と言えば、インスタントラーメン、レトルトカレー、カニカマだ。カニカマとは、見た目はカニだが中身はかまぼこという人気食品。じつは、このカニカマは日本国内だけでなく、世界的な人気商品なのだ。

カニカマを世界で一番初めに開発したのは、石川県の水産練り物メーカー・スギヨ。1972年、カニ風味かまぼこ「かにあし」を発売し、瞬く間に大ヒット商品となった。スギヨは国内だけにとどまらず、1976年には米国でも販売を開始。ヘルシー志向とシーフードブームに乗ってカニカマは米国でも人気商品になった。

カニカマ
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