頭のなかに、「あれをやらなきゃ……」とずっと先延ばしにしているタスクはないだろうか。著述家のニルス・ソルツゲバーさんは「MRI検査によると、やるべきことを考えるだけで人の脳は苦痛を感じている。しかし驚くことに、嫌だと思うことでも実際に取りかかると、ストレスや不快感のレベルが下がったのだ」という――。

※本稿は、ニルス・ソルツゲバー著、弓場隆訳『科学的根拠で 先延ばしグセをなくす』(かんき出版)の一部を再編集したものです。

脳のスキャンのイメージ
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「やらなきゃ」と思うこと自体がストレス

あなたが先延ばしにしていることに、共通することはなんだろうか?

それはあなたを不快にし、不安にし、とても面倒だと感じさせることだ。

やらなければならないことを考えるだけで、苦痛を感じているかもしれない。

もしそうだとしても無理はない。面倒なことについて考えるだけで、実際に苦痛を引き起こすからである。

ある研究者たちがMRI装置を使って調べたところ、面倒なことに取り組んでいる様子を想像するように言われたとき、被験者の脳のなかの苦痛を感じる部位が反応し、実際に苦痛を経験していることがわかった。

たとえば、税金の申告について考えると、実際に苦痛を感じる。仕事のあとで運動することについて考えると、実際に苦痛を感じる。論文を書くことについて考えると、実際に苦痛を感じるというのだ。

苦痛を感じるのが好きな人はいないのだから、先延ばしグセのある人がこんなに多いのも納得できるだろう。

考える→苦痛を感じる→先延ばしにする

苦痛を感じることに直面したら、私たちはどういう反応を示すだろうか?

おそらくそれから逃げようとするだろう。

不快な思いをするのは嫌だから、苦痛を感じることを先延ばしにしたくなる。

面倒なことについて考えても苦痛を感じない人がいる一方で、先延ばしグセのある人はなんらかのやるべきことについて考えるとすぐに気分が悪くなる。先延ばしグセのある人はある種のトラウマを抱えていて、それがなんらかのやるべきことに対するネガティブな連想につながるのだ。

面倒なことを苦痛に感じるのは避けられないが、先延ばしに適切に対処する術を身につけるのは自分でできる。

先延ばしグセで苦しんだことのある人なら、とにかくすぐやることが難しいと実感している。これは先延ばしグセのある人に共通する問題である。どんな理由であれ、先延ばしグセのある人はとにかくすぐやることができないのだ。