掃除機市場に“異変”が起きている。国内メーカーやダイソンといった有名ブランドが競り合う中、新興の家電メーカー「シャークニンジャ」がシェアを伸ばしているのだ。一体何が魅力なのか。デジタル&家電ライターのコヤマタカヒロさんが取材した――。

全方位からゴミを吸い取る器用さとパワー

2018年に日本に参入して約7年。早くも掃除機市場でトップシェアグループに入り、存在感を示しているのが米国・ボストンに本拠地を置くシャークニンジャだ。コードレススティッククリーナーの最新モデルは360°全方位からごみの吸引ができる360インテリジェントノズルを採用する「EVOPOWER SYSTEM BOOST/BOOST+」(7万1500円~機能による)。

9月に発売された最新の「EVOPOWER SYSTEM BOOST/BOOST+」シリーズ
著者撮影
9月に発売された最新の「EVOPOWER SYSTEM BOOST/BOOST+」シリーズ。/自動ゴミ収集ドックやFLEX機能の有無などで4モデルを用意する。標準質量は約1.5kg(FLEXモデルは1.7kg)と軽い

クリーナーに搭載された複数のセンサーがゴミや掃除している場所を検知してパワーを制御。さらに壁際掃除の際には側面からの吸引力を高める機能や、ヘッドを前後に往復した場合に、押すときだけでなく、引くときにもゴミが吸引できる新機能を搭載している。さらに床に落ちた質量のあるゴミも強力に吸い上げるパワーもシャークの魅力だ。

さらに近年はニンジャブランドでキッチン家電や扇風機なども展開。いずれもシャークニンジャらしいパワフルさを備えた個性豊かな製品となっている。今回は急速に掃除機市場で存在感を示すシャークの製品開発とマーケティング戦略についてプロダクトマーケティングディレクターの長瀬陽子さんと、シニアマネージャーのジャッキー・チャンさんに話を聞いた。

(右)シャークニンジャ合同会社 プロダクトマーケティングディレクター 長瀬陽子さん、(左)同 シニアマネージャー ジャッキー・チャンさん。
著者撮影
(右)シャークニンジャ合同会社 プロダクトマーケティングディレクター 長瀬陽子さん、(左)同 シニアマネージャー ジャッキー・チャンさん。

7年前の商品は「重い」と苦戦

シャークは1995年にマーク・ローゼンズウィーグによって創業された企業で、1998年にハンディクリーナーを販売。その形がサメに似ていると量販店のバイヤーにいわれたことからシャークというブランド名になったという。創業からしばらくの間は北米を中心にビジネスを展開し、欧州に続いて2018年7月に日本市場に参入した。

日本市場に最初に投入したのがコードレススティッククリーナーの「Shark EVOFLEX」だ。北米市場で販売しているモデルを3分の2サイズにコンパクト化して販売した。

2018年に開催された日本市場参入時の製品発表会
著者撮影
2018年に開催された日本市場参入時の製品発表会。パワーは圧巻だったが大きく重かった

「日本市場向けに軽量化はしたのですが、それでも標準質量が3.5kgぐらいあったため、重すぎて期待しているようには売れませんでした。いまでも吸引力はシャーク史上最強クラスで、買っていただいたお客様には好評だったのですが、市場には受け入れてもらえませんでしたね」(長瀬さん)