昭和の「企業戦士」は過去の遺物になったはずだが、令和のワーク・ライフ・バランスは本当に改善されているといえるだろうか。医学博士の片野秀樹さんは「リモートワークが普及した現代こそ、オフのないオン至上主義が蔓延している。疲れを自覚してからでは遅い。健康なうちに、戦略的に休養をとる必要がある」という――。

※本稿は、片野秀樹『休養マネジメント』(かんき出版)の一部を再編集したものです。

暗いオフィスで作業をするITエンジニア
写真=iStock.com/MTStock Studio
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実は24時間戦っていなかった昭和の働き方

かつて昭和の時代に、「24時間戦えますか?」というCMがありました。

当時の日本の仕事観を象徴するようなキャッチコピーですが、あの頃のビジネスパーソンは、ほんとうに24時間休まず働いていたのでしょうか。

私は、実際はそれほど戦っていなかったのではないかと思っています。

当時は、スマホはおろか携帯電話やポケベルもない時代でした。ノートパソコンを持ち歩くこともありません。

つまり、外出中でもひっきりなしに電話がかかってきたり、スケジュールが共有されていてどこで何をしているかが常に把握されている現在とちがって、「ちょっと外出して、営業まわってきます」などと言って会社を一歩出れば、会社や上司の監視下から離れることができました。

訪問先に行くにも移動時間があるので、その時間は好きな本を読むことができます。空き時間があれば、喫茶店で時間を潰したり、場合によっては、営業車で昼寝をしたり、パチンコ屋に行ったりということができました。

「24時間戦えますか?」の時代は、勤務時間は長くても、ある程度自分のペースで働ける「余白」があったのです。

一生懸命働く時間と、そうでない時間がある。オンとオフのバランスを自分で調整できた時代だったと思います。

令和に普及したリモートワークの功罪

ところが残念ながら、今はそうはいきません。

最近ではリモートワークを導入している職場も増えたため、「何がなんでも出社」とされていた以前よりはマシだろう、と考える人も多いかもしれません。

たしかに通勤時間がないぶん朝晩の時間を長めにとることができたり、自分のタイミングで休憩をとりやすいという点でも、コロナ禍をきっかけにリモートワークが広がったことは非常にいい流れだったと思います。

しかし、リモートワークの普及によって見えてきたデメリットもありました。

リモートワークでは、会議や打ち合わせもオンラインで行います。一見便利にも思えますが、ミーティングからミーティングへ、間隔をあけずにつづけてこなすことができてしまいます。