「疲れていますか?」と聞かれて「まだ大丈夫」と答える仕事熱心な人ほど、見えない疲労が溜まっているかもしれない。医学博士の片野秀樹さんは「『まだがんばれる』と思う人は、脳のマスキングのせいで疲れを自覚できていない可能性がある。疲労度を見える化するツールで自分の疲れ具合を客観視し、休む意識につなげていくことが重要だ」という――。

※本稿は、片野秀樹『休養マネジメント』(かんき出版)の一部を再編集したものです。

スマホで自分を撮影するビジネスマン
写真=iStock.com/littlekop
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疲労は自覚できているとは限らない

あなたは普段、疲れを感じていますか?

いつも体が重くて、だるい。熱っぽい。朝起きてもすっきりしない。筋肉痛がある。

このような自覚症状がある人は、「疲れている」と答えるでしょう。

では、「それほどでもないかな」と思った人も、次のような悩みに心当たりはないでしょうか。

・ミスや物忘れが増えた
・いつも不安な気持ちをかかえている
・ちょっとしたことでイライラする
・やる気が出ない
・ドアの角によくぶつかる

じつは、このような人も「疲れている状態」だといえます。

以前はそんなことなかったのに、最近、イライラすることが多い。仕事に集中できない。でも、こんなふうに考えてはいないでしょうか。

「仕事は休まず行くし、家事や休日の予定も問題なくこなせている。だから、自分はまだ大丈夫だ」と。

動けるから、疲れていないというわけではありません。ほんとうは疲れがたまっているはずなのに、自覚できていないだけかもしれません。

仕事熱心な人ほど「精神的」に疲れているかも

疲労には大きく2つのタイプがあります。

「肉体的な疲労」と「精神的な疲労」です。

「肉体的な疲労」があると、明らかな変化が起こります。体が重い、だるいなどです。元気なときとの差がわかりやすいので、疲れていることを自覚しやすいです。

疲れを自覚すると、「休みをとらないといけないな」「今夜は早く寝て、体力を回復させよう」という意識になります。ある程度、自分で調整しながら生活することができます。

一方、「精神的な疲労」は疲れを自覚しにくいという特徴があります。

現代では、この精神的な疲労をかかえている人がとても多いのです。

たとえば、次のような行動をとっている人は要注意です。すでにかなり精神的な疲労がたまっているかもしれません。

・移動時間もメールチェックをかかさない
・休みの日でも社用スマホを持ち歩いている
・休日も仕事のことが頭から離れない
・仕事のチャットやメールは休日でも即レスしている

一見「仕事熱心な人」というイメージかもしれませんが、こうした行動が常態化してしまうと、心身の健康を損なうことになりかねません。

「精神的な疲労」でいちばん問題になるのが、活動能力が低下しているにもかかわらず、活動をつづけてしまうことです。