※本稿は、金久保武大『圧倒的な結果を出す思考の筋トレ』(小学館)の一部を再編集したものです。
会食を「楽しかった」だけで終わらせない
「人脈は多いほうがいい」――ビジネスの世界では、よく耳にする言葉である。
たしかに、多様な業界や立場の人とつながっていれば、情報やチャンスの流入量は増える。だが、僕が大切にしているのは、ただ人とつながることではなく、その関係をどう活かすかという視点である。
そこで僕は、会食の相手や頻度を見直し、誰とどれくらい会っているのかを数値で整理した。会食だけでも年間500回以上、多いときは1日3件。独立から2年目に入った時点で、すでに延べ2万人を超える人とテーブルを囲んでいた。
さらに、これから自分が注力する事業との親和性や、相手の関心領域、困りごとの傾向をもとに関係性をマッピング。単なる感覚ではなく、具体的な数値と傾向から“信頼の濃度”を可視化していった。
この取り組みによって、会食という時間の価値は大きく変わった。事業の未来を共に描ける相手かどうかを見極める場となり、意味のある時間に昇華されていった。
また、誰かが課題を抱えたときにも、「この悩みなら、あの人が助けてくれる」と即座に判断できるようになり、紹介や支援のスピードと精度が圧倒的に上がった。
人脈で大事なのは量ではなく質
信頼関係とは、単に数を増やすことではなく、必要なときに機能し、互いを高め合える関係の質によって築かれていくものである。そして、それを日々の会食という時間のなかで、僕は一つずつ丁寧に積み重ねている。
会食や相手とのつながりを数値化して可視化するなかで、僕は一つの結論にたどり着いた。それは、「人脈は多ければいい」という単純な話ではないということだ。持つべきは、“相手との関係にどれだけの信頼と未来が待っているか”という視点である。
僕が会食で大切にしているのは、ただ出会うことではない。「この人と仲良くなりたい」と思える相手と、腹を割って話す時間こそが、人脈の“質”を高める最も確かな方法だと信じている。
名刺交換だけで終わる関係ではなく、信頼で結ばれた関係に育てていけるか――。その意識を持つだけで、出会いの質は自然と変わってくる。

