元気な高齢者は何が違うのか。医師の和田秀樹さんは「食べることが好きなグルメな方が多い。好きなものを好きなように、自分の身体と相談しながら、堪能しておられる」という――。

※本稿は、和田秀樹『喪失感の壁 きもち次第で何があっても大丈夫』(中公新書ラクレ)の一部を再編集したものです。

ラーメン
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「大好きなラーメンを食べられなくなってきた」

「30代の頃から、趣味でラーメンの食べ歩きブログを書いてきました。

仕事で出張が多いこともあり、全国の有名店に赴き、休日にはやや遠方の行列店まで足を運ぶのが何よりの楽しみでした。それでも健康診断で引っかかったことはなく、同世代の友人たちのなかでは胃腸が丈夫だと言われることも、ひそかに誇りに思っていました。

ところが最近、どうにも胃がもたれるのです。

先日も、昔から愛してやまなかったこってり系の一杯を食べきれずに残してしまい、帰り道にひとり落ち込んでしまいました。

念のために胃の検査もしてみましたが異常はなく、医師からは「年齢的なものでしょう」と言われました。直に還暦。仕方がないとは思いつつ、なんとも言えない寂しさを感じています。

いまは胃薬を常備して臨んでいますが、これからどんどん食べられなくなっていくのかと思うと、なんだか気が滅入ってしまいます。 (50代後半・男性)」

元気な高齢者は、食べることが好きなグルメが多い

私もラーメンは好きでよく食べますが、こってり系はあまり食べなくなりましたね。と言っても、もともとそこまでこってり好きというわけでもなかったので、あまり気にしていませんでした。

年齢とともに食の好みが変わるのは、ある意味当然のこと。特に日本人は、欧米人に比べて胃腸の働きが弱い人が多いと言われています。年を取るとさらに消化酵素の分泌量が減り、腸内環境が変わりますから、脂っこいものが苦手になる人は多いですね。

しかしここで、「もう背脂たっぷりラーメンは無理なのか」と悲観するのは、まだ早いです。

私は高齢者専門の精神科医として、これまで6000人以上の高齢者の方を診察してきました。その経験から断言できるのですが、お元気な方はみなさん、食べることが好きなグルメが多い。そして、好きなものを好きなように、自分の身体と相談しながら、堪能しておられます。

逆に、ラーメンや焼肉が大好きだったのに、「もう年だから」とそうめんや刺身ばかり食べるようになったら、そのほうが問題です。栄養不足になって、どんどん老化が進んでしまう。

ですからまずは、どうしたら引き続き楽しめるかを考えてみましょう。

たとえば、「背脂の浮いたスープは飲み干さない」「麺を少なめにする」「食べるペースをゆっくりにする」。こうした工夫をすれば、胃の負担を抑えつつ、味を堪能することができます。相談者さんがすでに実践されているように、「胃薬で消化力をカバーする」のも良い案だと思いますよ。