いい医師を見分ける方法はあるのか。医師の和田秀樹さんは「医師を選ぶときの基準として、知識や技術はもちろん重要だが、最も大切なのは、医師との相性だ。治療のパートナーとして気持ちに寄り添い、尊重してくれる医師を選ぶことが、長期的な信頼関係をつくるためには不可欠だからだ」という――。
※本稿は、和田秀樹『喪失感の壁 きもち次第で何があっても大丈夫』(中公新書ラクレ)の一部を再編集したものです。
「かかりつけの主治医が引退してしまった」
「過去に大病を患ってから20年来お世話になっていた主治医が、高齢のために引退してしまいました。長年付き合ってきて、これ以上に信頼できる医師とは出会えないかもしれないと思うと、不安で仕方がありません。子どもや孫のような若い医師に診てもらうのも、正直心配です。(60代後半・男性)」
開業医でも70歳前後で引退する人は多い
これもなかなかつらいですね。信頼していた医師が突然やめてしまうと、不安が大きくなりがちです。特に長年お世話になっていた場合は、その人との関係性が一種の安心材料となっていた可能性が高い。
とはいえ、医師も人間ですし、開業医でも70前後で引退する人が多いのが事実。
ここでは自分に合う新しい主治医探しのために、私の考える「良い医師」の見極め方をお伝えしましょう。
第一に、年下の医師、若い医師だからという理由で、頼りないのではないかという偏見を持たないことが大事です。相談者の方がいま60代であれば、今後20年、30年の付き合いになるかもしれない。そのときにも働き盛りでいてくれるのですから、むしろ安心ではありませんか?
とはいえ、若ければいいというわけではもちろんありません。長い付き合いをするのであれば、適当に済まさずに、ドクターショッピングをしてしっかりと見極めたほうがいいと思います。
いまは健康でどこも悪くはない、という人でも、50、60代のうちに心の主治医、かかりつけの精神科医を持つことをすすめています。なにしろ喪失感の押し寄せる世代ですから、拠り所があるだけでだいぶ安心できるはず。それも、比較的軽い症状のときに、いくつかの病院を回ってみるといいですね。

