私たちの一日には、多くの「隙間時間」が潜んでいる。業務改革などを手がける本山裕輔さんは「この積み重ねが人生そのものを変えかねない力を持っている。」という――。

※本稿は、本山裕輔『仕事ができる人がキリの悪い時間にやっていること』(サンマーク出版)の一部を再編集したものです。

砂時計を立ててデスクに座る男性
写真=iStock.com/Mahmud013
※写真はイメージです

休憩中の過ごし方の「致命的な間違い」

上手に休憩を取るための代表的な手法に「ポモドーロ・テクニック」があります。この方法について最も的確でわかりやすい説明をしているのが、バーバラ・オークレー氏とオラフ・シーヴェ氏の著書『学び方の学び方』(アチーブメント出版)でしょう。

同書によると、ポモドーロ・テクニックの基本的な手順は以下の通りです。

1 勉強する場所に座り、邪魔になりそうなもの(PCのポップアップや電話の音など)を排除する
2 タイマーを25分にセットする
3 25分間、勉強に集中する
4 25分間が終わったら、5分間の休憩時間を取る

この手順自体は、インターネット上の記事でもよく紹介されています。しかし、私が長い間大きく勘違いしていたのが、4ステップ目の「5分間の休憩時間を取る」という部分でした。『学び方の学び方』を読み進めると、次のような興味深い研究結果が紹介されていました。

ラトガーズ・ビジネススクールのサンゴーン・カンとテリー・クルツバーグ両教授の研究によって、休憩中に携帯電話をいじると、携帯電話にまったく触れずに休憩時間を過ごすのと比較して、頭脳の回復が効果的におこなわれないことが明らかになった。

『学び方の学び方』より

これを読んで、私は自分の致命的な間違いに気づきました。それは「作業の合間の休憩時間に、スマホを操作していたこと」だったのです。

真の休憩とは脳を空っぽにすること

「何かLINEが来ているのではないか」「Xでコメントが届いているかもしれない」といった具合に、SNSを眺めながら休憩を取っていました。

しかし、これでは休憩の意味がありません。スマホを操作している間、脳はまったく休むことができないからです。

それどころか、「LINEをチェック→Xを確認→YouTubeを視聴」というように、次々とアプリを切り替え、処理する情報も変わるため、スイッチングコスト(別の課題に適応して集中し直すための労力)が無駄に消費されてしまいます。その結果、脳はかえって疲弊してしまうのです。

では、本当に効果的な休憩とはどのようなものでしょうか。答えは明確です。休憩時間は、とにかく脳を空っぽの状態にすることが重要なのです。

具体的には、昼寝をする、散歩に出る、瞑想めいそうをする、窓から遠くの緑を眺めるといった活動が理想的です。これらの行為こそが、本当の意味での「休憩」と呼べるものなのです。

効率的な学習や作業のためには、集中する時間と同じくらい、質の高い休憩時間が欠かせません。スマホの誘惑に負けず、脳に真の休息を与えることを心がけてみてください。