社長は現場で給仕する
前回(http://president.jp/articles/-/10256)は、秋葉原のメイドカフェ「@ほぉ~むカフェ」には、「お客さまを楽しませる」という理念を基にした客観的評価によるメイド育成システムがあり、その中で実力を発揮し、社長の座に就いた現役メイドhitomiさんの話をしました。
hitomiさんは、今もメイドさんとして週2回ほど店舗で給仕をしています。普通の会社では考えられないことですが、これこそhitomiさんがこれまで培ってきたメイドさんとしての才能と実績を経営に活かす方法だと私は感じています。
メイドカフェにとってメイドさんは、最も重要な経営資源です。「@ほぉ~むカフェ」では、「お客さまを楽しませる」ことが第1の理念ですが、「メイドさんが充実した環境で働ける」ことが次に大切な理念だといいます。メイドさんたちにも、いろいろ悩みがあるわけですが、同じ女性であり、メイドさんとして一通りの悩みを経験してきたというhitomiさんだからこそ、メイドさんたちの悩みを聴いて、励ますことができるのです。メイドさんが悩みを抱えて給仕に集中できなければ、「お客さまを楽しませる」こともできず、ビジネスも成り立ちません。気持ちひとつで成果が変わるのですから、メイドさんにとって一緒に給仕をして叱咤激励してくれるhitomiさんの存在意義は大きいのです。
また、現役メイドとしてお給仕していることで、現場でさまざまなお客さまが求めるものを感じることができます。たとえば、初めてのお客さまにも興味を持ってもらい、常連客にも楽しんでもらえるような新サービスを考えることも、hitomiさんの仕事です。
「@ほぉ~むカフェ」を運営するインフィニア株式会社は先月、hitomiさんがプロデュースする新しいファッションブランド「Seventeen Kiss」を立ち上げました。可愛いと感じられる要素「萌えポイント」にこだわった洋服で、ファッション界に「萌え」というカテゴリーを創り、「Seventeen Kiss」をその代表ブランドにしたいとhitomiさんはいいます。最初に発表された洋服はhitomiさんが「萌えポイント」の塊と考えるメイド服をアレンジしたものでした。この「萌えポイント」も、hitomiさんがメイドさんとして給仕する現場で、多くのお客さまの意見から得た感性なのです。